Figureskating Superstars

ジャンプの個体差について 06/1/15


今回は、ジャンプが飛ぶ人によってそれぞれの個性があるという話です。

それを、いろいろな選手の特徴から見ていきましょう。

 

女子の選手でいいますと、大雑把に言って、伊藤みどりタイプと、クリスティ・ヤマグチタイプに分けることが出来る。

えっ、クリスティ・ヤマグチが分からない?困りましたね。では、タラ・リピンスキーではどうか。

それも知らない?では、仕方がないので浅田真央タイプと言っておきます。

浅田真央タイプは、背も高くなく、体重が軽く、ちょこまかしている感じがある。ジャンプは地を這うタイプ、と私は認識しています。

いっぽう伊藤みどりタイプは豪快で、高く、遠くへ飛ぶタイプ。

体重があり、まあ太いのだが、馬力でどんどん飛ぶ。かつて話題になったトーニャ・ハーディング、恩田美江そして荒川静香などがこれに当たるだろう。

 

かつてのクリスティ・ヤマグチのジャンプを見て、私が衝撃的だったのが、彼女は殆ど上へ飛ばないことだった。
10センチも飛ばないのではないかと思うくらい、上に上がらない。
そして、遠くにも飛ばない。殆ど飛んだその位置から動かない。

それでもトリプルジャンプを飛んでしまう。その衝撃だった。

つまり、ヤマグチは遠くへも高くも飛べない。しかし、ジャンプの速度が速い。素早く3回回ってしまう。
それで、いつの間にかトリプルを飛んでしまう。あっという間に飛んでしまう。
そういう印象があったのだ。

私はそれを、勝手に「地を這うジャンプ」と名づけた。

氷のすぐ上で、氷に吸いつくようなジャンプ。褒めている訳ではないよ。まるで迫力のないくにゃくにゃジャンプとも言える。
くにゃっと、いつの間にか飛んでしまう。伊藤みどりの対極にあるジャンプだ。

 

アメリカの女子選手は意外とこのタイプがとても多い。

体重を制限しているためだろう、軽くて華奢な選手が多い。基本はしっかりしているのだが、ジャンプの迫力はまるでない選手ばかりだった。

タラ・リピンスキーもこのタイプだしミシェル・クワンもこのタイプ。クワンはジャンプを飛んだあと、お尻がぷくんと飛び出る。それがなかなかエッチだった。

タラ・リピンスキーのジャンプは全然迫力がなく、技術は確かだがどうも好きになれなかった。

浅田真央は、長野オリンピックの時のタラのトリプル・トリプルを見てすごいと思ったと発言していたが、タラはあの時ルッツからループのコンビネーションを飛んだ(多分…しかも後半)。
それも迫力はなかったのだが、あっという間にさらりと飛んでいた。それはそれなりにすごいことだ。真央と似ているタイプといえるだろう。だから真央が好きというのは分かる。

ソルトレイクで金メダルを取ったサラ・ヒューズも地を這うタイプだと思う。と言っても、もう誰もサラ・ヒューズなんて覚えていないだろう。それくらい陰の薄い選手だ。私も忘れた。
トリノのメダル候補サーシャ・コーエンもタラ・タイプだろう。

ともあれ、アメリカの女子選手は、あれっ、今の飛んだの?というくらいふにゃっと飛ぶタイプが多い。

アメリカの選手で例外はトーニャ・ハーディングで、彼女は伊藤みどりと同じタイプ。豪快なジャンプを飛んだ。トリプルアクセルも飛んだ。
3アクセルを飛ぶには技術だけでなく、遠くへ飛ぶための馬力と思いきりが必要なので、豪快タイプでないと飛べないのだと思う。

このハーディングはリレハンメル・オリンピックの時、例のケリガン・ハーディング事件で試合を中断して審判席に足をどんと乗せ、世界的にヒールとして有名になった。することなすこと豪快な人だった。

 

豪快なタイプの代表は、伊藤みどりに尽きる。私の母など、未だに伊藤みどりみたいなジャンプを飛ぶ人は誰もいない、と言う。事実であろう。

誰よりも高く、誰よりも遠くへ飛んだ。男子よりも飛んだ。

体のばねが抜群で、馬力もあり、思いきりもあるのでとにかくジャンプのすごさで彼女を凌ぐ者は将来も現れないだろう。
小さな体でコマのように回る、と世界的にも有名だった。

芸術性の高いフィギュアスケート女子シングルを、運動性の高い戦うスポーツへと180度変えたのがみどりだった。
みどりは、フィギュアスケートの革命だった。

伊藤みどりに比べれば、浅田真央のトリプルアクセルはコンパクトにまとめていて、迫力は感じられないので、真央は基本的にはアメリカンなコンパクトタイプなのだと思う。
ただ、他のジャンプはコンパクトでも飛べるが、3アクセルは馬力と距離が出ないと飛べないから、真央は特別なのではないか。コンパクトな部分と距離を飛ぶ両方を備えているのかもしれない。
軽い体重で基本がしっかりしているのではないか(ルッツが飛べていないという話だが)。

伊藤みどりについで豪快なのは恩田美栄選手で、やはり山田コーチのもとにいた。彼女のジャンプは迫力があり、一見の価値がある。彼女もトリプルアクセルを飛んだが、期待されすぎてつぶれ、アクセルなしでも行けることを再認し最近復活を遂げた。よかったよかった。

 

あと、「がむしゃらタイプ」と私が勝手にカテゴライズしている飛び方がある。
これは、マリア・ブティルスカヤとエレーナ・リアシェンコの場合。

とにかく、体裁とか、見た目とか考えず、死に物狂いで飛ぶ。着地した時、ゴリッと音がするのではないかと思うような乱暴な(?)ジャンプ。またはごり押し着地ジャンプ。
飛ぶ人は美人でエレガントな人が多いのだが、それだけにジャンプとの落差に驚く。

ものすごく滅茶苦茶に言っているようだけど、決して悪口ではないのだが。要するにランディングがあまり美しくないということだろうか。ただ、着地が怪しくてもちゃんと降りてしまうのだ。

 

女子選手ばかりでしたが、男子選手の場合はたいていが豪快で、高く遠く飛ぶ。そうでないと男子の場合、迫力がないしね。


簡単なジャンプの見分け方
見分け方の補足

  inserted by FC2 system