Figure Skating Superstars

よく分かるフィギュアスケート
ジャンプの簡単な見分け方
02/2/13

 

フィギュアスケートを見ていて、始めは選手がジャンプを飛ぶと、わあすごいという反応しかないが、何度か見続けると、解説者やアナウンサーが、「あっ、トリプルアクセルが決まりました」だの、「今度はトリプルルッツです!」などと叫ぶのが気になって来る。

 

選手がどれだけジャンプを飛んでもどれも同じにしか見えないのに、実はひとつひとつ違うのだという。
どこが違うのか、躍起になってテレビ画面にかじりつくが、どこにも違いが見えない。

しかし、私は94年の幕張世界選手権のあと、来る日も来る日もビデオを見続け、プレイバックし続け、ノートに取り、画面と照らし合わせてジャンプの順番を確認し、血の滲むような努力の結果、とうとうすべてのジャンプを見分ける秘技をあみ出したのである。

ここではその、私があみ出したごく簡単にジャンプの種類を見分ける方法を記す。

本来ならば、それぞれ個人が血の滲む努力をしなければ得られないジャンプの見分け方を*、特別に伝授するのだ。
何という太っ腹だろうか。

*(選手は、血の滲むような努力をしてすべてのジャンプを飛ぶ方法をあみ出さなければならない)

 

まず男女シングルでのジャンプの種類は

*アクセル
*ルッツ
*ループ
*サルコ
*トーループ
*フリップ

この6種類である。
これ以外のジャンプの種類を飛んでも今のところジャンプとみなされない。

これらは、踏みきりの足の左右、トー(つま先)をつくかつかないか、(踏みきりの瞬間が)インエッジかアウトエッジかなどの違いから分けられている。

 

それぞれ3回転すると、トリプル〜〜などと言われる。
こんにち、ダブルを飛ぶことは女子のダブルアクセル以外はあまりないので、もしフリーでダブルを飛ぶ選手がいたら、それは失敗ジャンプであると見なして良い。

*

まず選手が演技をしている時、トリプルジャンプを飛ぶ時間は1秒にも満たない。
ほんの僅かな瞬間である。
その瞬間に右か左か、インかアウトか、どちらで飛んだなどと判断するのは殆ど不可能に近い。
またどちらの足で踏みきるかと足の先を一生懸命見ていると、肝心の演技が見られない。
それでも私は最初、どちらで踏みきるのかと熱心に選手の足先を見て判断しようとしていたのである。
何という努力だろうか。

しかし、右足、左足のどちらで踏み切っているのかさえ、瞬間では判断出来なかったのである。
それなのに解説者もアナウンサーも飛んだ瞬間にトリプルアクセルなどと叫ぶ。
悔しくて仕方がなかった。

とくに解説の五十嵐さんなどは、
「今のはトリプルルッツを飛ぼうとして、最後にインエッジになってしまいましたから、厳密に言うとトリプルフリップですね」
などと言う。
実にかっこいい。

五十嵐さんは一瞬の間にどのようにして見分けているのだろうか。
私の悔しさはいや増した。
その悔しさをばねとして、私の不屈の努力が始まったのだ。

では早速個々のジャンプの特徴を見ていこう。


 

*4回転

まず、男子選手で取り入れられるようになった4回転ジャンプから見分けよう。
4回転は3回転とどう見分けるか、がポイントとなる。

見分け方としては、

1 アナウンサーと解説者が4回転です!と叫ぶ
2 ジャンプのあと観客が大拍手をした

3 滑る直前、選手が緊張した顔をしていた

などという特徴が認められればそれは4回転である可能性が高い。

その他に、

*助走が長い
*プログラムの一番先に飛ぶ

などの特徴もある。

4回転の場合、今のところトーループである。
まっすぐ後ろ向けに滑っていって、最後に後ろを振り向くなどのしぐさがあり、それで見分けるのがベストだろう。
最近は4回転のサルコだの、フリップだのが開発されている。
それらを見分けるには、解説者の叫びを待つことである。

 

以下はトリプルジャンプである。

*アクセル

アクセルは唯一、前を向いて踏み切るので一番見分けやすいジャンプである。
女子はダブルを、男子はトリプルを飛ぶ。
男子でダブルアクセルを飛んでいた場合は、軟弱者と言って笑ってもよいとされる。

前を向いて踏み切り、後ろから降りるので実際には半回転余分に飛ぶ。
トリプルアクセルと言っても3回転半回っているので、見た目には4回転飛んでいるように見える、おとくジャンプでもある。
しかし審判には4回転を飛んだと言ってごまかすことは出来ない。

助走は、弧を描くように片足で後ろ向きに滑って来て、振り返って飛ぶ位置を確認し、そののち両腕を大きくふってはずみをつけ、片足で前向きに跳ぶ。
跳ぶ足はどちらでもよい(ほんとか)。

 

トリプルアクセルは、4回転が開発される前は一番難しいジャンプとされていた。
女子では、伊藤みどりがアルベールビル(92年)において、女子で初めてオリンピックで成功した、として話題になったジャンプである。

最近ではコンビネーションジャンプとして、直後に3回転をつけて飛ぶ選手が殆どである。
むつかしいジャンプだから、プログラムの最初のほうに飛ぶことが多い。
そしてお休みパートを挟んでもう1度単体で飛ぶ、というパターンが多かったが4回転が主流の今は、プログラム構成も変わって来ているかもしれない。

 

トリプルアクセルとダブルアクセルの見分け方

男子の場合、トリプルを飛ぶ筈が失敗してダブルになったという場合もある。
アクセルは一見、余分に飛んでいるように見えるから、ダブルでもトリプルだと勘違いするのである。
この場合の見分け方は、

観客の拍手が少ない
解説者が黙った
あまりにもスムーズに飛んでいた

などということから判断するのが望ましい。

なおエキジビジョンで飛ばれるアクセルジャンプは大抵ダブルアクセルである。

 

*ルッツ

以下のジャンプはすべて後ろ向きに踏み切って後ろから降りる。

ルッツはアクセルに次いで分かりやすいジャンプである。
もしかしたらアクセルよりも分かりやすいかもしれない。
そしてアクセルに次いでむつかしいジャンプとされているので、女子の場合はこのトリプルルッツをプログラムの一番最初で飛ぶ選手が多い。

ルッツは、左足で飛ぶ時に右のトウで氷を蹴るのが特徴である。
アウトエッジで踏み切る。

目立った特徴は、助走が、前を向いたまままっすぐ後ろへ下がり、そのままトウをついてジャンプする。
後ろを振り向かないので、分かりやすいであろう。
始めに後ろを振り向く選手もいるが、まっすぐに滑って来るので分かりやすいであろう。

 

*ループ

ループはルッツに次いで分かりやすいジャンプである。

トウをつかずに右足で踏み切る。
助走は後ろを向いてまっすぐに下がってくる。

トウをつかないので分かりやすいのである。

私がサンプルとして採集した選手(キャンデローロである)は、ループジャンプではもっと際立った特徴があり、助走において、後ろへ滑って来ながら、両手を広げて上を向け、振り向いて飛ぶ位置を確認し、そののち右手のひらを見つめながらジャンプする。
更にサンプル選手の場合におけるもう一つの特徴は、ループを飛ぶ時、非常にセクシーだということである。

私はこのサンプル選手の飛ぶトリプルループによって、ループに目覚めた。
すみやかに幕張、長野オリンピックのビデオを再生することが望ましい。

またループは、まれにコンビネーションジャンプのセカンドジャンプとして飛ばれることもある。
これについては後述する

 

*サルコ

サルコは、ループに次いで分かりやすいジャンプである(こればっかり)。

これもトウをつかずに飛ぶ。踏み切りは左足。
助走に特徴があり、小さい円をくるくると描いて回りながら、最後にえいやと飛ぶ。

なお、選手によっては助走が違う場合があり、その場合の見分け方は不可能となる。

このように見てくると、それぞれ助走に特徴があり、私が助走によって、ジャンプの種類を判断していることが分かるであろう。
どちらの足で踏み切っているか、はっきり言うと私には分かっていないのだ。

 

*トーループ

トーループは見分けるのが少しむつかしい。
ルッツと逆で、右足踏み切りで左でトウをつく。

トリプルトーループは比較的簡単なジャンプとされ、成功率が高い
最近ではコンビネーションジャンプのセカンドジャンプとして飛ばれることが多く、もしかしたら単体では飛ばれなくなるかもしれない。
絶滅寸前ジャンプである。

特徴としては、

*エキジビジョンで飛ばれることが多い。
*ペアで用いられる。

など。

助走は選手によって一定していなくてよく分からない

見分ける方法は、強いて言えば、選手があまり緊張せずに気楽に飛んでいるということがあげられる。

 

*フリップ

フリップは見分けるのが最もむつかしい。

ルッツジャンプと似ているが、踏み切りがルッツのアウトエッジに対して、インエッジで踏み切るとされている(らしい)。
ルッツとは体の倒れる方向が逆なのだ。

と言ってもそれを見分けるのは至難の技である。
しかし私はこの判断がむつかしいフリップをも見分ける技をちゃんとあみ出しているのだ。

それは、
自分に判断が出来る、どのジャンプとも違うと判断した時、それがフリップジャンプである、という方程式の発見である。

フリップはトウ系のジャンプであるから、トウ系のジャンプのうちルッツでもなく、トーループほど簡単に飛んでいない、というような場合はフリップである可能性が高いのだ。

 

さてこれで6種類のすべてのジャンプが分かった。
これでソルトレイク・オリンピックのフィギュアを見る楽しみも倍増するはずである(本当か)。

 

*因みにこれらジャンプの名称は、開発した選手の名前がついている場合が多い。

 

*コンビネーションジャンプ

最後にコンビネーションジャンプについて付記しておこう。

コンビネーションジャンプとは、読んで字の如く、ジャンプを二つくっつけて飛ぶことだ。

一度トリプルジャンプを飛んで着地し、そののち間髪を入れずに着地した足でもう一度飛ぶ。
単体で飛ぶジャンプより当然むつかしいとされ、4回転を飛んだあと3回転をくっつけると審判の点数が上がる。

しかし、コンビネーションでは、最初のジャンプで着地したあときれいに流すことをしなくてもよく、すぐに次を飛ぶので多少着地が決まらなくてもごまかせるのではないか、と、かえってコンビネーションジャンプの方が飛びやすいのではないだろうかと私は睨んでいるのだが、違うのだろうか。

それとの関連で言えば、最初にむつかしい4回転なり、トリプルアクセルをしたあと続けてジャンプを飛ぶと、最初に飛んだむつかしいジャンプがやや軽く飛んだと見えてしまう。
むつかしいジャンプの重厚感がなくなってしまうのが痛し痒しである。

 

コンビネーションの他に、ジャンプシークエンスというのがあり、これはジャンプとジャンプの間に幾つかのステップを置いて再びジャンプを飛ぶという技。
コンビネーションジャンプを失敗したのでステップを入れてしまったと思うのは、
間違いである。

コンビネーションジャンプでは、セカンドジャンプにトーループ(トリプルトーループ)を持って来ることが多い。
トーループが一番簡単で飛びやすいからであると推測される。

 

まれにセカンドジャンプにループを持って来る選手がいる。

ループは、トウをつかないから、最初のジャンプを着地したあと、まさにその足のままぱっと再び飛んでしまう。
際立った特徴があり良く目立つ。
ループつきのコンビネーションジャンプを成功させると、観客から賛辞を受けやすい。

長野オリンピックの女子シングルで、タラ・リピンスキーがこのトリプルルッツ(確か…)からトリプルループのコンビネーションジャンプを成功させて金をもぎ取った。

男子シングルのプルシェンコ選手は、4回転・3回転・2回転(!)の連続ジャンプ技を持っているが、その最後の2回転ジャンプがループである。

さすがにプルシェンコは2回転といっても一ひねりしたジャンプ技を出して来るのだ。
この時のループジャンプでは助走がないことは言うまでもない。


*なお、ルールのことには素人が書いています。誤りには寛恕下さい。
明らかな間違いがあればお知らせ願います(^_^;)。

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