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Diego Rodriguez de Silva y Velazquez
Las meninas
絵画の中の絵画といわれるベラスケスの「ラス・メニナス」は、ピカソが多くのバリアシオンを製作した事でも知られる。
見れば見るほど謎めいて、衣裳やいでたちを除けばこれが200年も昔に描かれたものとはとうてい思われないほどの
なまなましさに満ちて、見ている私たち自身がこの絵の製作現場に今、居合わせているような、
私たち自身もこの絵に参加しているような、そんな不思議な気持ちにさせる、絵画史上でも稀有な名作だといえるだろう。
ディエゴ・ベラスケスは、長く宮廷画家としてスペイン王朝の凋落期にではあったが、
フェリペ4世に信頼され、愛された。フェリペ4世は、最初ベラスケスの描いた自分の肖像画を見て驚嘆し、以後、ほか誰にも、自分の肖像を描かせなかったという。
*
ベラスケスのすばらしい点は、王であれ、道化師であれ、対象物を見つめる目が、同じだということだ。
そこに、人間としての差別化がない。
王だからといって理想化することなく、道化師だからといって、その人間性を軽んじることはなかった。
感動的なのは、道化師を描いて、人間の誇りや尊厳を見るものに否応無しに感じさせることだ。
さて、「ラス・メニナス」。
王女マルガリータも、画家ベラスケスも、宮中の女道化師も、果ては、後ろの扉に立つ誰ぞも、
こちらを見ている。こちらを…。どう見ても、私のほうを。
でも、私の正面には、すなわち、部屋の奥には、うすぼんやりと、王と王妃の姿が、鏡に映っている。
では、私の位置にいるのは、王と王妃?
いや、もしかして、それは鏡ではなく、二人の肖像画なのか?
そして、画家ベラスケスの前にある巨大なカンバスには何が描かれているのか?
王と王妃なのか、それともマルガリータなのか…、あるいはそれ以外の何か?
私には、一つの答えが、私だけの答えが、ある。
それは、今、この情景を眺めている私自身が描かれている、という答えだ。
Infanta Margarita Teresa
↓マルガリータ王女の単独の肖像画。
幼い(3歳の?)マルガリータ王女 花瓶があるのとないのがある
宮廷画家として、王の家族の肖像を描きまくったベラスケス
まだよちよち歩きの王女を描く時でさえ、ドレスの光の輝きに執着して飛ばしまくっている
マルガリータ王女
ラス・メニナスから抜け出て来たような、単独で描かれた王女
衣服の描写などが驚くばかりの輝き 幼い彼女の魅力がいっぱい
↓こちらは8歳のマルガリータ。
青い服のマルガリータ王女 ウィーン美術史美術館
実物を見たことがあるが、このドレスのびろうどの質感、実在感。
かなりの大ざっぱな筆づかいなのに、そのボリュームとリアリティにただただ圧倒された。
マルガリータ王女 プラド美術館 1660年ころ
ベラスケスの絶筆だと伝わる
これも実物を見たことがあるが、ドレスのスカート部分、近くで見るとただの絵の具の厚塗り、
乱暴な筆遣いの光の反射と見えるものが、少し離れて見ると、見事にドレスの分厚い質感が
これでもかと表現されている。
驚くばかりの技術、表現、筆力、みなぎる力量に、これもただひたすら圧倒されるばかりだった。
手に持った透けるレースのハンカチの、圧倒的な描写…
ベラスケスとはつくづく偉大な芸術家であると思う。
そしてこの肖像のマルガリータ王女は早世してしまうのだ…
ベラスケスそのほか↓
Jesus Crusifixion & Religious Theme | Venus and Women
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