Art Maniacs

京都府立陶板名画の庭

京都市左京区下鴨半木町

05/6/3

京都府立陶板名画の庭は、植物園の横にある。地下鉄に乗って、北山駅で降りると、迷う暇もなく、駅のすぐ隣にある。

ここは、世界の名画を陶板に転写して焼成したものが展示してある。施設全体を設計したのは、建築家、安藤忠雄氏。それほど古くなく、1990年頃作られたようだ。

名画の数はそれほど多くなく、展示順にモネの「睡蓮」、スーラ「グランドジャット」、鳥獣人物戯画、ミケランジェロ「最後の審判」、レオナルド「最後の晩餐」、台湾の「清明上河図」、ルノワール「テラスにて」、ゴッホの「糸杉」である。

四国にある陶板の美術館に比べれば、数は知れている。だが、この施設はわりと評判がよい。私も一度は行ってみたいと思っていたのだ。

入ってすぐに人工の池(?)があり、その中にモネの睡蓮が。睡蓮だから水の中に入っている。晴れた日には、日の光りが水に反射してゆらゆら揺れる。不思議だが、よく考えられた空間だ。

こんなふうに、ここはいっぷう変わった展示の仕方をしている。施設は、基本的に屋根がなく、屋外にほうり出されたようなかたち。入館料は100円。

写真撮影は、特に禁止されていないようだったので撮ったけれど、もし禁止だったらごめんなさい(>_<)

そのまま歩いてゆくと、コンクリートの壁の横からスーラや、ルノワールの絵が現れる。

ルノワール、ゴッホ、鳥獣戯画、台湾の絵は2倍に拡大、その他はほぼ原寸大とのことだ。

さらに歩くと、最後の審判が現れる。このアバンギャルドな空間と、ミケランジェロの取合せが、みどころだ。

まず進むと、審判の、イエスのいる場所のあたりから眺める。そして階段があり、少しずつ下から眺めるようになる。
このあたり、言葉で説明するのがむつかしい(>_<)が、順路にしたがってぶらぶら歩いていると、自然に何度も「最後の審判」の前に出るのだ。
そして最後に、「審判」のまん前に到着し、下から眺めることになる。

これは鳥獣人物戯画。約2倍に拡大。進路の壁面にこのように飾ってある。うさぎとかえるだけでなく、いろんな動物がいるのだ。

ちょっと近くから「最後の審判」を眺める。イエスを中心に、天国にゆく人々が間近で見られる。
実際のシスティーナではこの角度、この高さからは見ることが出来ないだろうから、ちょっと面白い。

このあと折り返して裏へまわる。

今話題の「最後の晩餐」も、ほぼ等身大で飾ってある。実物は暗くてよく見えないそうだから、ここでじっくり拝見。わりと色が鮮やかなので、修復後のものなのだろうか。

母と一緒に行ったのだが、母はほらあの人どこや、あの裏切った人…などと聞く。ユダならあそこ、と言っても分かるまい。真ん中にイエスがいるやろ、その左の…。でも、「真ん中のイエス」がどこか、分からなかったに違いない。

さらに階段を降りてゆく。基本的には、階段をどんどん降りてゆくという行動をする。
壁を折り返したり、裏に回ったりしながら階段を降りてゆく。謎。

正面というか、一番奥というかに滝がある。コンクリートの巨大な滝である。

この水の落ちる音を聞きながら、施設を回るという行動を続ける。

どこから水が流れて来ているのだろう。そして、その水はどこに流れてゆくのだろう。すべてが謎である。

もう一度「最後の審判」の前へ来た。近寄って、ごく間近で見ることも出来る。これはかなり見上げながら撮っているので、上下のパースペクティブが狂っていると思う。一番下の部分に描かれた絵は撮れていない。

その、この写真に写っていない最下部の洞窟に、「あれオランウータンとちゃう?ほらあそこ」と、母とはしゃぐ。
洞穴にいる生き物がオランウータンに見えたのだ。

近くににじり寄って見てみたら、ヒトのようだった。暗い闇に浮かぶ、目を血走らせた餓鬼のような人間らしかった。

名画を見ながらはしゃぐのもどうかという話だが、こんな青空の下で見ていると開放的になり、思わず心が踊るのだった。

母の感想は、西洋の人は、地獄へ行ってもまるまると太ったはるなー、であった。

いやー、なかなか楽しかった。

植物園へ

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