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コナン・ザ・グレート
Conan the Barbarian 1982

監督 ジョン・ミリアス

主演 アーノルド・シュワルツネッガー

02/12/31

脚本がオリバー・ストーンである。よって、「地獄の黙示録」との関連性も時に云々される。
(コナンが敵の首を転がすあたりなど)これは日本の時代劇の影響もあるだろう。

ジョン・ミリアスはのち「勇者がどうのこうの」という旧ソ連がアメリカに攻めてくるという不思議な映画を撮り、顰蹙を買った。
(今なら受勲ものか。)
これで右傾化しているといっぺんに評判を落とし、仕事がなくなった。
「ビッグ・ウエンズデイ」というサーフィン映画を撮ったことでも知られる。

このように、ゴリゴリのミリアス、ストーンというゴリゴリコンビの作品なのでなかなか胡散臭い映画ではあるのだが、黒澤を尊敬するらしいミリアスは、日本の時代劇映画を手本にして作ったという。
そのせいで日本の批評家にはさんざんの評価であり、興行的にも失敗したのではないか。
しかし、このゴリゴリぶりが大変愛らしいと思うのは、私だけだろうか。

 

ファンタジー映画にもっとも必要なものはなにか。

それは雰囲気である。

決して、実在のことやものではない、どこか架空の国の、架空の物語。
それを映画を見ている者に納得させるための雰囲気づくり。

臨場感とリアライゼーションが、ファンタジーのすべてである。

カメラが素晴らしい。
架空の国キンメリアを、さもこれしかないと思わせる、あくまで青い空。地平線。
その国の、空気まで感じ取れるような気がするカメラの威力。
色の出し方も完璧である。
(カメラマンの名は忘れた)

バジル・ポールドーリスの音楽。
あくまで昔のハリウッド史劇の大作を髣髴とさせる、このうえもなくオーバーでドラマチックな音楽。

 

主役のアーノルド・シュワルツネッガーはこれが初主演であった。
大根とか、ヘタとか、立ってるだけとかさんざんの評判であった。

しかし私は言う。このコナンに限り、シュワのヘタクソぶりがことのほか映えた。
シュワでこそ、このコナンは肉体化出来たのだ、と。

人間が、ホモ・エレクトスからホモ・サピエンスへと進化を遂げる、まるでその中間に位置するような、コナンの脳みそのなさぶりは、人間が欲望のままに生き、食べたい時に食べ、吼えたい時に吼え、泣きたい時に泣く、そんな古代の人間のありのままの姿を見るようで、衝撃的であった。

重ねて言うが、コナンのシュワは最高であった。

共演の女優サンダル・バーグマンは、往年のラクエル・ウェルチ(なんて誰も知らない)を思わず想起してしまうような、グラマー女優という大昔の表現を使うしかないような正統派のグラマー女優で、実は私の好みなのだった。

ハダカに近い恰好で剣を持ち、大マタを開いて構える。
なんと素晴らしい眺めだろうか。
こんな情景を、オスカー狙いのハリウッド映画や、子供向きの遊園地映画に望めるであろうか。(私はオッサンか)

かつて、この主演二人にいちゃもんをつけた評論家たちに災いあれ(まあ、まともな批評だったかもしれないが…)
まるでフランク・フラゼッタのイラストそのままの主演者たちではなかったか。

 

そんなわけで、うさんくささ満点のこの「コナン・ザ・グレート」は、私のヒロイック・ファンタジー映画史上に燦然と、永遠にその名を留めているのであった。

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