[Exhibition Preview | My Favourite Arts | HOME]

 

2017京都国立博物館 新春特集陳列

2017/2/3

 

京都国立博物館で、新年、明けて1月15日まで若冲のミニ特集をやっていたが、
同時期に泉涌寺の寺宝が公開されていた。

若冲もまあ見たかったが、むしろそちらの方が見たかった。
泉涌寺の楊貴妃観音が展示されるというからだ。

 

泉涌寺は京都の南、御寺と呼ばれる皇室ゆかりのお寺で、 東福寺あたりに近かったはずだが、
京都から行こうと思えば、 ちょっと南なので行きにくい感がある。

なのでこの機会に寺宝の楊貴妃観音が見られるなら、というわけで、
行って来ようと思ったのだ。



行ったら、各部屋で同時にいろんなものが公開されていて、びっくりした。


まず新年の特集陳列に「とりづくし」


これは酉年にちなんだ、鶏の絵ばかりを集めたもの。

中には若冲そっくりの鶏を描いた画家の絵などもあったが、 若冲はこんな風にわりと真似されていたのだと思った。

 

   

若冲流の鶏もけっこう流行ったたようだ 



そして、陳列の中に、私の好きな「十二類絵巻」が出ていたらしい。

前に見て、干支の動物が擬人化されて描かれている楽しい絵だったので、
好きになったのだが、とにかく早く泉涌寺のところまで行かなくては、
と急いでいたので「とりづくし」はいい加減に見て、 さっと通り過ぎてしまった。

あとで京博のサイトで出品されているということが分かって がっかりだった…。


これはパンフレットに載っていたもの 

 

そしてさらにさっと一階を通り過ぎようと思っていたら、 「大航海時代と日本の蒔絵」という
展示コーナーがあって、 思わず目を見張り、入ってしまった。


日本で作られた螺鈿細工の櫃や、書見台という多分キリスト教の 福音書を乗せる台や、
徳利とそれを入れる入れ物やらが、 ものすごい細かい、目の眩むような螺鈿の細工で
いっぱい展示されているのに圧倒された。

こんなものが公開されていたとは…

何にも知らずに行って、驚いた…


日本製の螺鈿細工の製品については何も知識はないが、
とにかく一目見たら、その豪華さや細かさや、
目もあやなその精緻な出来栄えにただひたすら驚くばかりだった。



大航海時代、16世紀ころ、西洋人が日本に辿り着いた時、
日本の蒔絵細工に目を止め、西洋人の注文によってこれらの作品が
西洋への輸出用に作られたものだという。

京博のホームページをつぶさに見ていたら、少しだけ説明が ついているのだが、
そんなとこまで見なかったしな…
展示部屋いっぱいにそれらが並べられていて壮観でびっくりした。




撮影禁止なので、パンフなどに載っているそれらしいものを ちょっと写してみた。

こんな感じのものがずらずらとあった 

 

蒔絵や、螺鈿細工の作品は現代のものでもとても高価だが、
あれだけの細密な細工のものだから、どれだけ手間がかかるかも分かるし、当然だと思う。

そして何百年も前から日本はこのようなものすごく細密な、
どのような細部にまでもみっちりと施した工芸に秀でていて、
手間と時間を惜しまず作り上げる細工職人がいたことに感嘆する。

しかもこの細部の細工の緻密さが決して散漫にならず、
作品全体としてひとつの工芸として完成されている。

輸入したヨーロッパの人々も、これらの工芸に感嘆して、大事なインテリアとしても、
今にまで残して愛でて来たものに違いないと思う。

それがどのような経路で、再び日本へ入って来たものか、それとも輸入されずに残ったものなのか

 

櫃と徳利というのがガラスケースの中に展示されていたが、おそらくピクニックなど、
外で使用するためのものだろう、
徳利が6つと、それを入れる引き出し式の箱のような入れ物(櫃)が展示されていたが、
徳利が入れ物に合わせて、丸い形ではなく、四角形で、角瓶のような形をしている。

それを箱に収めて携帯用として、外でお酒を飲めるようにするためのものだろう。

徳利は同じサイズで同じ四角い形、それらにいちいち精細な蒔絵が施されている。

どのように使用されていたのだろうか…、と思わず考えてしまうとても興味深い展示品だった。

*****

 

それと、同じ一階で仏像の部屋(彫刻?)に、「神像と獅子・狛犬」 という展示をやっていた。

そこに怪しい?神像群や狛犬が…八坂神社の狛犬なども展示されていた…
(重文だった…) 

これも別のパンフレットから



そしてなんと大将軍八神社の神像も展示される中、
うちの近所の市比賣神社の女神坐像が展示されていた…

いやあ…絶句した…
子供を抱いた女神の坐像だ、

いちひめ神社は女性のための神社らしいそうで、 女性がよくお参りに来ている。

いつの時代のものか分からないが、自分の所では管理出来ないので
博物館に寄託しているのだろう。

こんな所で近所の名前に出くわすとは…

 

そして仏像の部屋には向いの三十三間堂からひとり、
大阪の金剛寺というお寺から大日と不動がいらっしゃっていた。

何も知らないで行ったから、大きな丈六らしき大日に合うとは…。
あれは常設展示かもしれない。


三十三間堂のひとりは京博のレギュラーで、もう永遠に京博におられるのかもしれない…


ほかに毘沙門天のいいのが何体かおられた。
袖を結んでいるタイプ、どこのお寺のか忘れたけど、 とてもかっこ良かった。

私は天部では毘沙門天が一番好きだ。かっこいいからだ。
だからうっとりした。

上杉謙信も信仰していたからね。

 

それから、「染織」という部屋でお着物を展示していたが、
私には着物は良く分からないが、いつの時代か知らないが、
小袖ふたつがすごく粋な模様で、シックで、とてもかっこいい。


こんな粋な着物は現代には見かけないと思ったし、
能装束も出ていたが、お能の装束もすごく手が込んでいて、 きらきらしているからすぐにお能の衣装だと分かる。


刺繡が細かくて、普段そんな部屋へ行かないけれど、 ふらっと入って本当にびっくりした。



泉涌寺や若冲に行くまでに見どころいっぱいで、 おたおたしてしまった。




展示物を写真に撮れないのは本当に残念だ。

ルーブルなんかは写し放題らしいのに、 なんで日本は駄目なんだろう。

あの螺鈿細工、本物を写真に欲しかった…



仕方ないので外へ出てロダンさんを撮った。 

久しぶりだね。元気だったかい。


美しい本館も何度も撮ったけど、また撮った。




ここを文化庁の移転先に検討してるというけれど、
やめてくれ、それだけは許して…府民の願いだ…
府警本部にして。あそこなら府庁に近い 

 

つづく

 

[Exhibition Preview | My Favourite Arts | HOME]

inserted by FC2 system