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小学館文庫

江戸東京博物館

山本博文

2003

小学館

04/7/31

これはとっても楽しい本だ。

江戸東京博物館という博物館が本当にあるらしい。
本の半分ほどあるカラーページは、その博物館の展示品の紹介である。
でも、この博物館が東京のどこにあるのか、全然案内がないので、分からない。
と、思っていたら、カラーページの最後に所在地が書いてあった。

墨田区横綱。えっ横綱?そんな地名があるのか。
両国駅で降りて、徒歩三分ほどだそうだ。

私の残りの生涯で、もう二度と東京へは行かないように思うけれども、もし万が一行くことがあれば、ぜひ訪ねてみたい博物館だ。

博物館では本物も展示されているが、ジオラマやフィギュアを使って江戸時代の町並みや武家屋敷が再現されているのが、ミニチュア好き、フィギュア好きの心をくすぐる。
江戸時代だけでなく、東京ゾーンというのもあるから、明治時代の鹿鳴館の1/25模型なんかもある。

博物館では、駕籠や人力車に乗るのも体験出来るそうだ。
通史ゾーンといって、縄文時代の竪穴式住居も復元されているらしいから、ちょっと笑える。

 

本は、第一部と第二部に分れていて、第一部はカラーページの博物館紹介で、第二部は江戸時代の幕府のしくみや、江戸の風俗、文化などを紹介した読み物になっている。

これが実にためになって、江戸時代というものがどのような形で機能していたかが、いきいきと再現されていて、時代の雰囲気が手に取るように理解出来る。

記述されているのは、幕府のしくみ、江戸の都市計画と住まい、食文化、裁判制度、出版、歌舞伎、見世物、女性のおしゃれ、吉原、そして明治になってからの町並みと、昭和の暮らし。

本来ならば、それぞれ一冊ずつの本になってもおかしくない内容のものを、簡潔に、分かりやすく書かれてあって、情報量が抜群だ。

例えば将軍の一日の生活がどのようなものだったかが円グラフで示されていたり、裁判制度では刑罰の種類(獄門さらし首は、死刑より重い刑罰だったのだそうだ)、らくだの見世物(動物園のはしりか?)に人々が熱狂したり、もう数え切れないくらい興味深い記述が満載だ。

あっけらかんと明るい江戸の文化を楽しみ尽くそう。

あやしい魔界の京都ヘ

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