Movie Maniacs

ジャガーノート
Jaguarnaut

13/12/30

1974年 イギリス映画

監督 リチャード・レスター

主演 リチャード・ハリス デヴィッド・ヘミングス

 

この映画が大好きで、もしかしたらサスペンスとか、アクションもので一番好きかもしれない。

このころ、「ポセイドン・アドベンチャー」の大ヒットで海洋サスペンスが流行りつつあった。そのひとつとして、英国で作られたのがこの「ジャガーノート」だった。

監督はビートルズ映画で評判になったリチャード・レスター、主演は英国人らしいキャスト。

 

大西洋を横断する、千人以上を乗せた豪華客船で、爆発騒ぎがある。

スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)に脅迫文が届く。これこれの金額をいつ何日までに用意しないと客船を爆破させると。

調べると、客船には大きなドラム缶型の爆弾らしきものが5つほど、船の各所に置かれていた。

そのうちひとつが、脅迫が嘘ではない証拠だと言って、犯人が爆破させたのだ。

ドラム缶は時限爆弾だった。

スコットランド・ヤードは地上で犯人を探すと共に、客船に爆弾処理のプロチームを派遣し、時限装置の撤去を試みることになる。

 

この映画の途中から登場して来る爆弾処理班のリーダーがリチャード・ハリスで、実質、この人がこの映画の主人公である。

大西洋はおりしも(お約束のように)大荒れの嵐が通過中。そこにヘリコプターを飛ばして、そこから処理班を客船に下ろそうとするが、嵐で人が流されたりするサスペンスがあったりする。

が、映画は、途中から処理班がドラム缶と格闘する場面が中心になってゆく。

時限爆弾なので、期限は限られている。その期限内に処理しないと、1600人の命が、それどころか処理班チームの命さえも失われてしまう。

 

ほんの一ミリ、手元が狂っても爆発してしまうかもしれない爆弾を相手に、慎重に作業を進めてゆく処理班の手・指がアップで映され、堪え難いほどの緊張感をかもし出す。

私はこの処理班のリーダー、リチャード・ハリスが大好きなのだ。

処理班の爆弾処理の様子は、無線を通じてスコットランド・ヤードへもライブで届けられている。

緊張の極にあるスコットランド・ヤードに、のんびりした口調の「こちらBBC放送。今からニュースをお届けします」という声が突然響く。

リチャード・ハリスが処理の進行を連絡して来たのだ。

この男はこんな冗談をいつも言っている。

 

一つ間違えれば自分の命さえ吹っ飛ぶ極限の状況で、にも関わらず彼はいつもこんな風な冗談を言って笑わせるのだ。

この英国らしいキャラクターが、たまらなくかっこいい。

この大人の余裕、大人のユーモア、人生に対するシニカルな態度。私はいっぺんでこの大佐のファンになった。

アメリカ映画でこんなヒーローは、まあいない。アメリカ映画のヒーローはあくまで普通にヒーローをしている。

こんなふうにシニカルな態度をとるヒーローなんて見たことがない。イギリスだからこそ。

このリチャード・ハリスの腹心の相棒にデヴィッド・ヘミングスが扮しており、こんなところもイギリスらしさが溢れている。

このヘミングスのせいで、ハリスは一時、ヤケになり職場放棄しかけてしまう。

もう爆破処理なんていやだ、なんて主人公が言うなんて、そんなところもイギリス映画らしくていい。

 

そして地上で懸命に爆弾犯を探すスコットランド・ヤードがたどりついた犯人には、リチャード・ハリスと、実は深い因縁があった。

この犯人設定が実に上手い。

そのせいで、ハリスは再びやる気を出し、犯人と対決する。

映画のクライマックスは、その犯人とハリスの頭脳の戦いに収斂されてゆく。

爆弾のアップ、そしてあっちか、こっちかのスリル。

ラストの苦い勝利の俯瞰撮影。

勝負には勝ったが失ったものは大きかった…

少しネタバレしたかもしれないが、極力それは避けたつもりだ。

 

リチャード・レスターがこんなスリリングな映画を撮れるとはびっくりした。

それだけではなく、主人公の性格設定も魅力的だ。

とにかく魅力的な映画なので、拾い物的に好きな映画なのだ。

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