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西岡善信さん死去

2019/10/22(2019/10/12up)

 

 

京都を拠点にして、活躍されていた、映画美術監督・西岡善信氏が死去された…。






かなりご高齢…だと知っていたので、覚悟はしていたが、いざ現実になると、残念でたまらない。



97歳…、老衰のためとあった。

何と言っていいか、分からない。


映画美術を美術として認めさせた、その功労者だと思う。長く太秦で大映の映画美術を支えた人だ。



京都新聞は一面で報じた。




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京都新聞(全文)


https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/34258


映画美術監督の西岡善信さん死去 
カンヌ・グランプリの「地獄門」や「利休」など、97歳

2019年10月12日 5:00



『映画美術の第一人者として、1950年代の「地獄門」や「炎上」から、平成の「利休」「たそがれ清兵衛」など、
京都の時代劇や映像文化を70年にわたり支え続けた映画美術監督、プロデューサーの西岡善信(にしおか・よしのぶ)氏が
11日午後7時22分、老衰のため、京都市内の病院で死去した。

97歳。奈良県出身。

 京都・太秦を拠点に160本あまりの映画美術を手掛けた。

大映京都で撮られたカンヌ国際映画祭グランプリ作「地獄門」(1953年公開)で美術を中心となって担うなど30代から頭角を現す。

 78年に始まった日本アカデミー賞では「鬼龍院花子の生涯」「陽暉楼[ようきろう]」「瀬戸内少年野球団」「利休」「豪姫」
「女殺油地獄」「梟[ふくろう]の城」、

2000年代に入っても「千年の恋 ひかる源氏物語」「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「最後の忠臣蔵」で
最優秀美術賞を受けた。



 法政大在学中に学徒出陣。

ソ連での2年間の抑留を経て帰国し、1948年に大映京都撮影所に入った。

52年の「天保水滸伝」で美術担当としてデビュー。

大映京都では「朱雀門」「弁天小僧」「ぼんち」「破戒」「雪之丞変化」「越前竹人形」「大魔神」など約100作を手掛けたが、
71年に大映が倒産。

翌年、撮影監督の宮川一夫さんら大映京都の技術者と「映像京都」を創立、2010年の解散まで代表を務めた。

 ち密な時代考証と映像美を併せ持った美術デザインを手掛け、「鬼平犯科帳」などテレビドラマの美術でも活躍した。



 プロデューサーとしても京都に多くの時代劇撮影を呼び込み、太秦の映画の灯を守った。

若手映画人を育てる「KYOTO映画塾」塾長なども務めた。

牧野省三賞。紫綬褒章、京都府文化賞、京都市文化功労者。

京都新聞では2002年から「銀幕の画帖 西岡善信の描く京」を連載した。』



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西岡善信氏の作品数は膨大なものなので、彼の仕事を知り尽くしているとは言えない。
知らない方が多い。

それでも見たものには、目を見張るものがあり、名前を覚えたのだ。テレビでも活躍されていた。







大映の素晴らしいセットは西岡氏のものが多かったが、

京都新聞本誌では、「大魔神逆襲」のセットデザインの絵が掲載されていた。



 


(京都新聞より)

 

 


まるで一枚の絵のようなスケッチで、娯楽作品にも関わらず、ベテランの緻密な仕事ぶりが伺えた。

「大魔神逆襲」は西岡氏の腕が支えたのには間違いないだろう。…




市川崑の「炎上」は、金閣寺から許しが出ず、(京都のお寺全体が、映画化に反対したという)
映画内では別の名で呼ばれ、三島由紀夫からも許可が出ず、「金閣寺」のタイトルを使えなかったが、


金閣寺内部の構造を知るため、変装して調査に行く苦労談を読んだことがある。



最後の炎上場面で、火の粉が散るシーンは日本映画史に残る名シーンだが、
金粉をきれいに巻上げるため、いろいろ苦労したという話も。



「炎上」はひたすら暗いくらい映画だったが、あの炎上シーンは、暗い夜に舞い上がる火の粉が、
モノクロの中に幻想的に浮かび上がり、悲しいくらいに美しかった。


西岡氏と故・宮川一夫さん(カメラ)、市川崑監督、三者の協力で生み出した、美しい美術であった…。



金閣寺(映画では驟閣寺)(驟はパーソナル版漢字辞典より引用)のミニチュアは二つあったらしく、
ミニチュアといってもかなり大がかりなもので、縮尺1/2くらいのものだったという。

それくらいでなければ、燃やした時に質感が出ない、と。






「利休」を見られなかったことが心残りだ。


大山崎にある、利休が残した唯一の茶室、国宝「待庵」を忠実に再現したという。




西岡善信さんを語るなど、烏滸がましいが、京都の誇れる才能であった。

 

 

 



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