私の映画ベスト10
14/1/27
2 レディホーク 85
3 ふたり 73
4 ブレードランナー 82
6 さらば美しき人 72
8 サテリコン 69
9 ベニスに死す 71
10 世にも怪奇な物語 69
ようやく私の映画ベスト10の感想を書き終えることが出来たので、これらの大好きな映画について、総括して書いておこうと思う。どれだけ好きやねん…
眺めてみると全部70年代か80年代に公開されたものばかり…。最も新しいのでも「レディホーク」、「デッドゾーン」が公開されたのが86年…
でもそれも当たり前かもしれない。ベストテンは、私の青春時代の思い出のようなものだから。
もう一度見てみようと思っても、今見るときっとまったく別の映画のように思えるのだろう。
ただ、思い出だけの映画というのは排除したつもりで、私にとってはいつ見ても新しい、いつ見てもすごい、という映画ばかりを集めたつもりだ。
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しつこいくらいに書いているけれど、ルキノ・ヴィスコンティが好きなので、彼の映画がトップに来るのは当然だ。
でも、ベストテンに2つ入れるのは入れすぎかなと思って、始めはひとつだけにしていた。でも、結局2つ入ってしまった。
「地獄に堕ちた勇者ども」でも良かったのだが、始めはそうしていたのだが、結局「ベニスに死す」を上にした。
ショックを受けたと言う点では「地獄に…」の方が上なのだが、「ベニスに死す」はとにかくどの場面も美しい。
私のベストテンに入っているのは、結局出ている俳優が好きだからという結果もある。
ヘルムート・バーガー、ルトガー・ハウアー、クリストファー・ウォーケン、ピーター・フォンダ、テレンス・スタンプ…、皆私のお気に入り。
お気に入りだから彼らの出ている映画も大好きで、ベストテンに入るのだ。
もちろん監督もお気に入りが入っている。
ヴィスコンティ、クローネンバーグ、フェリーニ、リドリー・スコット…
でもやはり、監督が好きなだけでも、俳優が好きというだけでもベストテンには入らない。
監督が良くて、出ている俳優が良くて、出来が良い映画でないと駄目なのだ。
自分の好みという点では、ヴィスコンティの「家族の肖像」問題がある。
「家族の肖像」は、当時、どの映画のベストテンでも第1位になった映画ですごく評価が高かった。
でも私には、そんなに心にぐっとせまる映画ではなかった。ヘルムート・バーガーも出ているのに…。
「家族の肖像」は、室内演劇というような感じの映画で、劇演出もよくしていたヴィスコンティらしい映画演出だったが、どちらかというとスタティックな、終始落ち着いた映画だった。
私は、ひたすらドラマチックで、激しくて、ずんずんと心に入って来る映画がきっと好みなのだろう。だから、「家族の肖像」を、いい映画だなと思うけれど、私のベストテンには入らない。
ものすごい映画、が私は好きみたいなのだ。
「ブレードランナー」はすごかった。「さらば美しき人」もすごかった。
ベストテンには入っていないが、ヴィスコンティの「イノセント」もすごい映画である。
「サテリコン」なんかはすごすぎて、ちょっと普通の感覚では好きになれないだろう。
だけど、やっぱりジュゼッペ・ロトゥンノとあれば、ロトゥンノのローマ時代ということであれば、これはもうテンに入れるのはしようがない。ロトゥンノを代表して、という感じで入れてしまう。
監督だけでなくて、撮影監督も私の重要な好きポイントなのだ。
ヴィットリオ・ストラーロがふたつ、アルマンド・ナンヌッツイ、パスカーレ・デ・サンティスといったヴィスコンティ組、ジョーダン・クローネンウェスの陶酔的なカメラ、あまり有名ではないが、「デッドゾーン」のマーク・アーウィンのメランコリックなカメラ、みな忘れがたい。
カメラは映画の雰囲気を決定付ける。だからとても重要なアイテムである。
だからクローネンバーグがピーター・サズィツキーを起用する、という話を聞いただけでその映画に期待してしまうのである。
ちょっとくらい影のある感じのサズィツキーのカメラは私のお気に入りのクローネンバーグの画面にぴったりしている。
ストラーロは「ラストエンペラー」などで有名だが、ベルトルッチはあまり私のフィールドには入ってこない作家。
それよりも、「さらば美しき人」72年作品のストラーロが、85年、13年後「レディホーク」を撮ってくれたことは嬉しきかな。ファンには何という贈物だろう。
ベストテンには入っていないが、テレンス・マリックの「天国の日々」などは、特筆に価するカメラではないかと思う(カメラマンはネストール・アルメンドロスとハスケル・ウェクスラー)。
プロダクション・デザインも好きになる大きな要素である。
これは、「シャーロック・ホームズの冒険」などの作品がそうだ。
時代考証がとても凝っていて、その時代を映し出す感じのプロダクション・デザインは、映画を見る大きな喜びのひとつだ。
そこを驚くほど丁寧に作っていて、ひとつもゆるがせにしないヴィスコンティはだからさすがだ。「ベニスに死す」を始めとして、それだけをゆっくりと見せてゆく演出もしていて、「ルードウィヒ」もそうだが、時代の空気を切り取る、そんな画面をゆっくりと見せてもらって堪能したい。
それからボーイズラブ系が好きと前に書いているのだが、普通のラブストーリーも私は好きなのだ。
だから、結構見ている筈だがベストテンにまでは食い込んでこないだけのことで、「ふたり」など、しっとりとしたラブストーリーは大のお気に入りなのだ。
ただ、「ある愛の詩」などのように、主人公がぶさいくだったりするのはいかん。ストーリーも感心しない。
私の琴線に触れるのはああいう映画ではない。
もっと毅然とした、どロマンチックなやつでないと駄目なのだ。
ラブストーリー系で最も素晴らしかったのは「ロミオとジュリエット」だろう。
ベストテンには入れていないけれど、フランコ・ゼフィレッリの演出、脚色、衣裳、プロダクション・デザイン、デ・サンティスのカメラ、どれもが素晴らしい。主演の二人も初々しくて良い。
これは素晴らしい映画なのだが、なぜかベストテンには入っていない。なぜだろう。
多分俳優が、良いけれどもものすごく好みではないからなのだろう。もう少し私が若ければ、必ず入れるはずだ。
「2001年宇宙の旅」がベストテンに入っていないのも不思議といえば不思議である。
「2001年」はすごい映画で、それは文句のないところなのだが、やはり耽美の方が私の中では上に来るのだろう。
ベストテンにもれた映画でもいろいろすごいのがある。またおいおい感想を書いて行けたらいいなと思う。
感想を書いていたら、まるでその映画を見ているみたいな気持になってしまった。
あの頃見た映画が、そのまま私の頭の中で再生されるのだ。
確認のためもう一度実際見てみた映画はない。すべて記憶の中にある、私の頭の中にある映画たちだ。
あの場面に感動した、あのシーンにドキッとした、あのシーンに心揺さぶられた…、そんな感じで思い出しながら、感想を書いていた。
最近はもう映画を見る機会もぐんと減った。あの頃心揺さぶられたような映画が、今も再生され続けているのだろうか。映画は元気なのだろうか。
最近は外国映画よりも日本映画の方が興味深い。それも、実際は見ていないから分からない。が、日本映画の方が元気なのだろうか。
映画を見なくなって久しいが、悲しいことだ。元気でいて欲しい。それだけが気がかりだ。