フェルメールに新発見
2019/5/09 (2020/3/30up)
フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」はフェルメールの中でも、有名な部類の絵だと思うが、
(ドレスデン美術館蔵と思っていた)
修復中に、今まで何も描かれていなかったと思われていた壁に、天使(クピド)の絵が描かれていたことが判明したという。
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フェルメールの自筆「キューピッド」出現
独で修復作業中、元の姿取り戻す
https://mainichi.jp/articles/20190508/k00/00m/040/040000c
毎日新聞
「ドイツ東部ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館は7日、
17世紀のオランダ絵画の巨匠ヨハネス・フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」について、
別人が後に上塗りした箇所を除去し、フェルメール自身が描いた当初の状態を
一部復元することに成功したと発表した。
画面上部にはオリジナルのキューピッドの上半身が姿を現した。 」
「 『窓辺で手紙を読む女』は室内に立って手紙を読む女性を描いた作品で、
女性の背後には壁が描かれていた。
1979年のエックス線撮影以降、壁の下に裸のキューピッドが描かれていることは知られていたが、
フェルメールがキューピッドを描いた後、自ら壁を上塗りしたと考えられてきた。
しかし、その後の調査で、フェルメールの死後、別人が上塗りしたことが判明し、
この箇所の復元のほか表面の黒ずんだニス層の除去など全体の修復作業が進められていた。
現在も作業中で、終了までに1年以上かかるという。
現在の状態の作品が8日から6月16日まで同絵画館で公開される。(共同) 」
(報道によっては天使とされている処もある)
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エックス線撮影で、壁の下にキューピッドが描かれていたということも知らなかったが、
今まで、いかにも静謐なこの作品の要である、その静謐さがまるで失われてしまうような、新発見だと思う。
けれども、フェルメールの絵には、わりと背景に絵画や地図が描かれることも多かった。
地理学者
jan4
兵士と笑う女
ヴァージナルの前に立つ女
天秤を持つ女
そして絵画芸術(地図だが)
…枚挙に暇がない。
フェルメールの真作はわずか35~40点以内だというのに、
意外と室内装飾がリアルに描かれている絵は多いのだった。
フェルメールの時代、オランダで流行したよくある室内画のスタイルではなかっただろうか。
(しろうとですから、しろうとの考えですけれども)
「真珠の耳飾りの女」や「牛乳」の女が有名なだけに、
フェルメールといえば、何もない背景の中に、窓からの光だけで主人公が浮かび上がる、
そんなイメージの作品を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
(自分もそうだからだが)
特に「窓辺で手紙を読む女」は、その完成された静謐さで、背景に何も付け加える必要のない作品のように思えていた。
が、むしろ風俗画家としてのフェルメールは、室内装飾を緻密に描く画家でもあった。
「窓辺」にもっとも近い作品としては、「真珠の首飾りの女」がそれかもしれない。
背景には何もない。
けれども「窓辺」の背景に絵画が描かれていたとすれば、最も近いと思われるものは、
「天秤を持つ女」と言えるかもしれない。
*これは寓意画だ
背景はキリストの昇天
しかし両者とも「窓辺」における、室内を盗み見するかのような手前のカーテンは描かれていない。
これは「絵画芸術」に顕著であるけれども、カーテンの仕切りが描いてあるものには、
室内のディテールが細かに描かれているものが多い。
したがって、「窓辺」の作品にも、背景に絵画が描かれていたとしても、不思議はないのかもしれない。
*急いで書いたので、年代を調べるなどまったくしていないので、あくまで素養のないしろうとの意見です。
ちなみに、天使らしき人物が描かれている作品としては、「ヴァージナルの前に立つ女」がそれだが、
描かれている天使(クピド)を比べて見たら、まったく同じだと言えるだろう。
「窓辺」はまだ修復中だが、全貌が明かになるとすると、「ヴァージナル」よりも、もっと大きそうだし、
装飾豊かで寓意的な画面になりそうだ。
フェルメールらしい何もない背景の方がなじみ深くてイメージ通りだからいいのか、
それとも描かれた元の通りに再現するのが、より良いのか、
修復が終わってみてから、我々が判断することになるだろう。