モナリザの習作 モンナ・ヴァンナ
monna vanna
2017/10/7
コンデ美術館の裸体の肖像画「モンナ・ヴァンナ」がレオナルドのモナリザの習作ではないかという報道があった。
この作品は古くから知られているものだ。
一時はレオナルドの習作と考えられていたが、現在では別の画家の作品だと考えられていると、
以前モナリザのところで書いた。
レオナルド/モナリザ
どしろうとの意見ではあるが…。
参考にした1974年発行のレオナルドの特集の本(アサヒグラフ)では、この「モンナ・ヴァンナ」の作者は
ホース・ファン・クレープであると特定までしている。
その後、研究が進んだのだろう…。
レオナルドがまず裸体で習作を描いたというのには信憑性はあると思う。
レオナルドは解剖をやっていたし、人体を正確に書くために(それだけではないかもしれないが)
まず裸体で習作を描くことはあり得る。
ミケランジェロも解剖をしていたし、それも人体を正確に描いたり彫ったりするためだった。
(のだろう)
裸体でまず描いてそれに衣服を着せるというやり方は多くの画家が試みている。
習作としてレオナルドが裸体のモナリザを描いたことは、あり得ると考える。
私は、貴族の婦人が裸体になることはあまりないだろうと以前の記事の中で推測したが、
(当時、肖像画を描かせるのは貴族だろう)
裕福な婦人が裸体で描かれることは、ないことはなかった。
ティツィアーノの有名なウルビーノのビーナス(1538)などがそうだが、(愛人ということらしいが)
レオナルドのモナリザより30年ほどあとになる。
ピエロ・ディ・コジモの「シモネッタ・ヴェスプッチ」は1490年となっているが、
これはモデルのシモネッタの死後、想像で描かれたものだ。
もしかしたら、モデルには市井の女性を使い、顔だけ貴婦人にすげかえることも当時のテクニックとしては
あったのかもしれない。
ボッティチェリのヴィーナスの絵が、首だけ曲がっていて胴体とうまくつながっていないのも、
もしかしたら顔と胴体を別人のモデルで描いていたからかもしれない。
(しろうと推測ですから)
さてシャンティイーのコンデ美術館のくだんのモンナ・ヴァンナ、
古くから知られていたものが、なぜ今ごろになって急に研究しようという機運になって来たものか…、
ルーブル美術館が鑑定に乗り出しているという話だが、いつになってもレオナルドの話題は尽きないということだろうか。
またもやしろうとの感想としてではあるものの、この裸体画の手の部分、これが確かに繊細で丁寧に右手首を描いているので、
その部分がすぐれているように思う。
モナリザの手ともよく似ているし、写真で見ているだけだけれど、陰影も丁寧だと思う。
ただ、乳房の部分がどう見ても不自然。
本物のモナリザよりも向きが横になっているため、二つの乳房も描きにくい感じで、
とくに左側の乳房の向きを無理やり収めた感じで正確だと思えない。
顔から首、そこから肩にいたるラインは自然だが、乳房からその下のお腹がふっくらしすぎていて、
ちょっと逞しすぎたり。
ちょっとそのあたりが正確でないように思う。
今回の鑑定では手がレオナルドによるもので、顔などは右手利きの人が描いた、らしいということで、
複数の画家の手が入っているというようなニュアンスだ。
今までずっと「裸体のモナリザ」として親しまれて来たこの作品を急に今、鑑定しようということになったのは、
2019年がレオナルドの500年年忌らしく、イタリアがそれに向けて大々的にイベントを計画しているらしい。
それでこの作品にも今一度研究しなおし、という機運になったのかなと。
これまでも常にレオナルドはそれなりに話題を呼んで来たものだけれど、
2019年になると、世界的に大レオナルド大会になるかもしれない。
http://blog.livedoor.jp/cucciola1007/archives/4839792.html
こちらの情報を参考にしました。