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図説シリーズ
図説 日本の妖怪 近藤雅樹 編 1990年 河出書房新社 1500円 06/8/23 |
百鬼夜行のあとは妖怪。まだまだ暑い夏の夜にぴったりの妖怪本だ。
といっても、この図説シリーズは学術的でアカデミックな研究本。怖がったり、気味悪がったりするよりも、日本の歴史の中で、日本人が恐れ、想像し、描いて来た妖怪の図や伝承を網羅した本になっている。
鳥山石燕や河鍋暁斎の百鬼夜行図から始まって、河童のミイラ、鬼の面、さてまた北斎の幽霊図など、バラエティに富んだアイテムで楽しませてくれる。
ところどころ意味不明な文章があるが(霊感少女のくだりなど)、取り上げられているものは、鬼、狐、天狗、天神さん、安倍晴明、付喪神、河童(江戸時代〜の図つき)、東北地方の憑き物、怪談(幽霊図つき)、地獄と世界の果てに住む化け物、疫神送りの道祖神、わら人形、女のヒステリー(?)が生むこっくりさんをはじめとした集団催眠のようなものなど、多彩。
人形道祖神のくだりを読んで、あの大映映画の名作「大魔神」も、巨大人形道祖神のバリエーションだったのだなと思い至った。
あれは埴輪の形をしていて、村外れの山のふもとで人々を守っていた。ユダヤの伝説巨人ゴーレムをモデルにしたそうだが、日本にも巨大道祖神がいたのだ。巻末には妖怪名鑑つき。
妖怪といえば水木しげる的なものしか知らない人には、こんなに多様な変化を、日本人はその想像力によって作り出して来たのかと、驚き目を洗われることだろう。
表紙の絵はご存知北斎。
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