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小学館 ショトルミュージアム
ショトルミュージアム レオナルド・ダ・ヴィンチ 片桐頼継 1999年 小学館 1600円 06/6/15 |
話題のレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。修復後のよみがえった壁画を豊富なカラー図版で詳しく紹介した本。
ご存知のように「最後の晩餐」は、遅筆なレオナルドがフレスコ画ではなくテンペラ画を壁画で試みたため、レオナルドの存命中から剥落が始まっていて、技法としては失敗だった。
後年の修復作業も、レオナルドの絵を尊重する修復ではなかった。いろいろ受難があって、「最後の晩餐」はかなりひどい状態になってしまった。
それを、もとのレオナルドが描いた当初そのままに復活させることは不可能だ。それゆえに修復が済んでも、完全に美しく蘇ったわけではない。
今回の修復は、絵を蘇らせたというよりも、最低限のことをして、レオナルドのもと絵になるたけ近づけた、ということだろう。そのことを頭によく入れてから、「最後の晩餐」を見ることが必要だ。
なぜなら、悲しいが、修復が終わってもボロボロ状態には変わりがないのだから…。けれども、イエスのひたいに、遠近法の消失点の(釘をさすための)穴が穿たれていた、という発見などを読むと、ぞくぞくするのは確か。
本は、壁画の細部のアップ、修復が済んでから始めて分かった事実、CGによって完全再現した図、12使徒の紹介、レオナルドの生涯と作品の簡単な紹介など。
壁画のための素描と、壁画との比較もあるが、素晴らしい素描を見ていると、なおさら「最後の晩餐」の現状を嘆かずにはいられない。
でも、現在考えられる最良の状態になったのだから、それで良しということで。「最後の晩餐」を語る時には不可欠の本。また、レオナルド・ファンなら必携です。
Art10「最後の晩餐」
Art Essayダヴィンチコード、「最後の晩餐」
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