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とんぼの本
運慶 仏像彫刻の革命 1997年初版 2003年4刷 西村公朝 熊田由美子 新潮社 1500円 06/7/30 |
運慶といえば、日本でもっとも有名な仏師。というか、日本で名を知られている唯一の仏師と言ってもいいのではないか。
その運慶を、現代の仏師、西村公朝さん(故人)が語る。
初出は「芸術新潮」であるらしく、それを単行本化するのはこのとんぼの本シリーズによくあるパターン。
著者が二人なのは、熊田氏が西村師にインタビューする形式のためで、そして最後には「運慶とその施主たち」という、熊田氏の論文がついている。
インタビュー形式なので分かり易く、しかも興味深い話が満載。西村氏個人のエピソードも実に興味深いものがある。
もちろん運慶に関することはひととおり勉強できるし、慶派についても、楽しく読みながら理解出来るという、入門にぴったりの書となっている。
写真は、東大寺の仁王像をはじめ、運慶の作品、慶派の作品、三十三間堂、願成就院、六波羅蜜寺の空也上人から唐招提寺の鑑真和上像まで、素晴らしい仏像がずらりと掲載されている。
運慶の息子、湛慶が彫ったとも伝えられる運慶の像は少し笑わせるが。
運慶と慶派のリアリズム溢れ、人間味のある仏像は、仏像入門者にもっとも分かりやすく、入りやすい作品群だと思うから、これらを手がかりに、奥深い仏像の森に分け入ってみるのも一興かと思う。
もちろん、入門だけでなく、あらゆる仏像をきわめたのち、帰って来たのが慶派だったということもじゅうぶんあり得る。
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