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とんぼの本
新潮社のハンディな美術の本。約1800円くらいでバラエティ豊かなラインナップ

世紀末美術の楽しみ方 1998

河村錠一郎

世紀末美術…、フランス・サンボリスム(象徴派)からラファエル前派、ベルギー象徴派、ウィーン・ゼツェッション、アンソール、ムンク、スイス象徴派と、世紀末の絵画を網羅した便利本。河村氏による文章は晦渋で何だか分かりにくいが、収録されている絵画を眺めているだけでリッチ気分、世紀末気分に浸れるのがよい。

リニューアルついでにもう少し。

記述はテーマ別になっていて、例えばサロメ、スフィンクス、オルフェウス。アンドロギュヌス、エロス、愛と死、仮面など、世紀末サンボリズムが好んで用いたモチーフを取り上げている。

盛り上がりそこなったジェームス・アンソールを取り上げているのは収穫だし、セガンティーニやホイッスラーまでカバーしているのは模範的だが、いっぽうでルドン、ゴーギャン、ムンク、シーレなども取り上げている。

どちらかというと、ムンクやルドンは「世紀末」というくくりではくくり切れないものがあると思うのだが。

私は、だからムンクがあまり好きではない。「叫び」の画家として日本では有名だが、大雑把だし、絵の具が乱暴だからだ。まあそれは、好みだろう。
私の好みでないことは、誰の目にも明らかだわな。

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