Figureskating Superstars
トリノ・オリンピック まとめ ペア 06/3/17
ペアの演技はフリーでアクシデントがあったのでマスコミ的に騒ぎになったが、結果は予想に近いものだった。
そのほかに印象的だったのは、実況の刈屋アナがひたすら喋りまくったことだった。
ショート
ショート・プログラムで話題になったのがアメリカの井上・ボールドウィンペアのスローイング・トリプルアクセルの成功で、彼らは6位につけた。
ペアのコンビネーションスピンとかステップなどがよく揃っていたように思ったが、飛んだジャンプがダブルアクセルだったりと、要素が少し簡単なものだったので、この順位になったと思う。ドイツのサフチェンコ・ソルコヴィーのペアはグランプリシリーズで調子が良く、急成長して来たのでメダルの期待があったが、初オリンピックで緊張したのか、ジャンプで失敗をしたようで、出遅れた(彼等の演技をまだ見ていない)。
ドイツといえば、ベーツェル・シュトイヤーというペアが以前にいたけれど(リレハンメルで女性が男性の腕から落下、乳房を強打して棄権)、モダンな振り付けで個性的なペアだった。
同じドイツなのでサフチェンコ組も似たようなテイストを持っているなと思っていたら、彼等のコーチがシュトイヤーだということだ。中国のベテランペア、申雪・趙宏博(シェン・ツァオ)ペアは、男性のアキレス腱断裂により、今期の試合すべてに出られず、オリンピックが初戦になった。
往年の彼等を知る者には考えられないようなジャンプのミス、デススパイラルでは男性がポジションをキープ出来ず、見ているのが痛々しいような演技だった。5位。上位はトトミアニナ、ちょうたん、ペトロワ組と順調。
フリー
ペアのフリーは、1グループにつき4組ずつ滑る。ウォームアップの時、それ以上の人数で滑ると危ないかららしい(シングルは各組6人ずつ滑る)。
そんなわけで、最後から2番目のグループにシェン・ツァオ、サフチェンコ・ソルコヴィ、井上・ボールドウィンがいた。
「マダム・バタフライ」で滑ったシェン・ツァオは心配されたが、少しのミスはあったものの、スローイングジャンプ、ツイストリフトなど以前とあまり変わりのないダイナミックなもの。
彼等の滑りを見ることが出来たというだけで感動していたファンを喜ばせたが、この滑りが結局まさかの銅メダルに届くとは。サフチェンコ組は、フリーでも調子が出ず。彼らの使っていた音楽がなかなか良く、ストレートラインステップは本来なら素晴らしいのだが、オリンピックという舞台で力を十分出し切ることが出来なかった。
新進ペアだから緊張したのかもしれない。総合6位。井上・ボールドウィンペアは、ショートで成功したスローイングジャンプを失敗、そのほかボールドウィンのジャンプの失敗などもあり(このペアは女性の方が上手なのだ)、総合で7位。
でも、レナちゃんはボールドウィンにとても愛されているようで、それでじゅうぶん。オリンピックの成績よりも、女の子なら愛される方が大事だよ。
最終グループは、ペトロワ・ティホノフ、ほうせい・とうけん(中国)、トトミアニナ・マリニン、ちょうたん・ちょうこう。
ベテランのペトロワ・ティホノフはフェリーニの映画音楽で滑ったが、いくつかのミスがあった。
彼らにしてみたら、この演技が一杯一杯だったのかもしれない。
トップクラスではあったが、後輩(?)のトトミアニナ組に抜かれ、若い頃のような正確さはなくなって来たのかも。栄枯盛衰…。ほうせい・とうけんは、中国の2番手。だが近頃ちょうたんペアが力をつけて来て抜かれてしまった恰好。フリーは「オペラ座の怪人」で、ミスなく、とてもいい出来だった。
刈屋アナが「今日はクリスティーヌでした!」と褒め称えたが、同じ中国のベテランしんせつ組を抜けなかった。これには少し?な部分も。金メダル候補・トトミアニナ組は緊張が隠せなかったが、彼らの出来るすべての技を出し切り、ミスなく滑った。フィニッシュのあとは、二人とも力を出し尽くした感があり、マリニンはガッツポーズまでした。
普段の彼らは感情がないかのようなサイボーグ的な感じで、機械的に正確なだけのあまり面白味のない演技、と思い込んでいたが、こんなに感情を爆発させている場面を初めて見た。
それが感動的だった。やっぱりオリンピックって、特別なんだ…。彼らの人間的な部分を垣間見たことで、意外にも感動してしまったのだった。
あと、マリニンがドミトリエフに似ていたことを発見。
最終滑走のちょうたん・ちょうこうの組については、テレビで何度も取り上げられていたこともあり、有名になってしまった。
演技が始まったしょっぱなの、スローイング4サルコーで、女性が失敗して転倒、開脚した膝を強打して、しばらく立ち上がれなくなった。
規定によると、2分以内の中断なら再開してもいいというのだが、彼らの中断は4分に及んだという。
ただ、審判の確認のあと、今から2分以内と宣言してからカウントが始まったということで、2分以内と認められたという。演技は中断した部分から再開されて、再開後すぐにダブルアクセル-3トウのコンビネーションを飛んだので、ぶっ飛んだ。なんとまあ…。
あとのスローイングジャンプはステップアウトしていたが、ツイストリフトの大きさなど驚くばかり。
滑り切って銀メダルに輝いたが、感動はしたものの銀メダルというのはちょっと…と思った。エキジビションに怪我で不参加だったため、やはり相当深刻な怪我をしたのだろう。
フィギュアスケートのペアは、普段ほとんど注目されない競技である。
しかし今回は井上レナ選手のこともあり、ちょうたんのアクシデントもあり、珍しく日本で注目された。
どんな理由にせよ、注目されたことは嬉しいことだ。これを機会にペアに興味を持った人が増えたらいいのになと思う。