Figure Skating Superstars

テレビウォッチャーのための
上手なプログラムの見方  フリー編 
04/2/18


今年は、日本の女子選手がが大活躍している。村主選手や荒川選手など、今まで活躍していた選手のほか、4大陸で優勝した太田ゆきな(字、分からない)選手は私の同郷の京都出身でしかも高校の後輩だ。おのづと頑張って欲しいと応援したくなる。そのほか安藤選手もいるし、世界選手権に出場する選手といえど、うかうかしていられない。選手層が厚くなるのは、嬉しい限りだ。


さてフィギュアスケートにおけるショートプログラムの見方が完全に理解出来たところで、今度はいよいよフリーを見よう。

 

★その前に復習★

ショートプログラムは2分半という短い時間であり、基本的には基礎が出来ているかを見るという目的があると思うが、採点方法が変わった今シーズンからは、何となくその性格が曖昧になってしまったようだ。

ただ、SPは短い時間の中で、決められた要素だけを行なう、という決まりがあってこれを厳しく守らなくてはならない、という点は変わらないのだが。

つまりいくらジャンプが好きで、ジャンプの得意な選手でも3つ以上は飛べない。
スピンの場合、回転数が不足すると減点になる(現在は加点されない)。

 

以前は、SPは絶対に失敗の出来ないプログラムだった。
採点が減点式だったので、1つのジャンプを失敗すれば取り返しのつかないことになる。
飛べるジャンプは3つしかないので、1つでも失敗したら、それだけでかなり減点されるからだ。

今シーズンから、ジャンプを1つ失敗してもスピンやステップなど、他の要素が良く出来ていたら点数を取り返すことがてきる。
この採点方法は、フリーと同じであるため、SPとFSの違いを曖昧にしてしまったような気がするのだ。

明らかな違いといえば、フリーはより芸術的、といえるだろうか。
プログラムとして、まとまった作品として完成されているかどうか、それがこれからのフリーの採点に重要になって来るような気がする。

 

★ではフリー(FS)★

フリースケーティングは、男・女・ペアともに4分半ほどあり、スケート選手が自分の持てる技のすべてを使ってその時間内で自己を表現する。

現在、競技で飛ばれるジャンプが6つある。そしてジャンプを飛ぶ間にステップ、スピンなどを散りばめ、体力と運動量を計算しながら、コーチや振り付け師などがプログラムを作るのである。

★マリア・ブティルスカヤのように、選手自らが振り付ける場合もある。

 

SPではジャンプは3つしか飛べないが、フリーではすべてを飛ぶ。

すべてを飛ばなくてはならないという規定はないと思うが(4回転が出来ない選手は別に飛ばなくてもいいように)、そうしなくては高い得点が出ないので、おのずとすべてのジャンプをどうしても飛ばなくてはならないのである。

また、自分の得意な技をどれだけ入れても構わない。
4回転が得意なら、4回転のトーループ、4回転のサルコ、4回転のルッツなど無限に入れて飛びまくる。

だが、体力に限界があるので、初めから終いまでジャンプを飛びっぱなし、というプログラムは今のところ、ない。
フィギュアスケートでは全体の調和も必要なので、ジャンプならジャンプだけという偏ったプログラム作りはしてはならないということもある。

スピンの得意な選手がスピンばかりをするのもある程度は認められるが、競技ではその代わりジャンプも万遍なく飛ばなくてはならない。
であるから、大体誰が滑っても技の種類や内容は自ずと似通って来るというか、同じ程度のジャンプ、スピン、ステップを結果的に入れることになるのだ。

体力が続けば技を無限に入れて良いかというと、プルシェンコ選手がジャンプを飛びすぎて無効とされたことがあるように、申告している技以外は入れてはいけないようだ。
(コンビネーションジャンプは2種以内など)

あとは体力の続く限り、滑るのみだ!

 

ここ数年、技に変化のない女子のほうから見ていこう。

 

女子フリー

多分、男子より少し短く4分だったように思う。

女子のジャンプはむつかしい方からルッツ、フリップ、ループ、サルコー、トーループ、アクセル(ダブル)の6つだ。
アクセルを除いてすべて3回転。

SPと同じように、体力の余っている最初の方にむつかしいルッツを飛んでしまう。

音楽が始まってから、手をひらひらさせるなどの振りつけでリンクを2周くらいしたら、ルッツ×トーのコンビネーションを飛ぶ。
上手な人はトリプルトー、そうでない人はダブルトーをセカンドで飛ぶ。シングルで飛ぶ人もいる。

続けてフリップを飛ぶ。さらにもう1つトリプルトーなども飛ぶだろう。
それからはしばらくリンクを回り、スピンをし、ステップを踏む。
そうして息を整えたら今度はループ、ダブルアクセルなどを飛ぶ。
そのあとスピン、そしてまたステップなどでお茶を濁す。

このお休みパートのあと、リンクを1周して、もう一度最初に飛んだ難ジャンプのルッツに挑戦。見事成功して拍手喝采。
最後に残ったサルコーを飛び(失敗すること多し)、さらにもう一度アクセルなどを飛んで、フィニッシュになだれ込む。
女子の場合は大てい回転の速いスピンで終わる。

と、このような順番が決まっているわけではないが、大体こんな感じでプログラムが進むのである。

フリーの場合、自分の得意な技をアピールすることも得点をあげる要素になるから、積極的に沢山入れる。

 

スピンの上手な人はスピンを沢山入れ(上限はあるようだ)、いろいろなバリエーションのスピンを見せる。
かつてのデニス・ビールマンは体が柔らかく、上体をそらせて片足を頭の上にまで上げそれを手で持って回転するスピンを得意とした。
ビールマン・スピンとして有名になり、今でもスルツカヤ選手や男子のプルシェンコ選手などが取り入れている。

ミシェル・クワンはスパイラルが有名で、片足で滑りながら体重を移動してゆくスパイラルを見せ場としていた。

ストレートライン・ステップでアピールしたのは「三銃士」のプログラムでのキャンデローロ選手で、あれによってストレートライン・ステップの重要性がぐんとアップしたのではないか。

しかしスピンとか、これらの技の場合は、むつかしくても加点にはならない。スピンならスピンの1つとして勘定されるのみだ。でも、ビールマンスピンなど、目だったスピンをするとアピールするので選手は取り入れるのだ。

 

男子フリー

男子フリーも基本的には女子と変わらなくて、飛ぶジャンプの種類が違うくらいだろう。

男子の場合は、むつかしい順から4回転、トリプルアクセル、ルッツ、フリップ、ループ、サルコー、トーループと、7つあるが、4回転ジャンプというのは一般的に4回転のトーループである。

4回転トーループを飛んだら、3回転トーループは飛ばなくてもいいような気がするが、どうなのだろう。
実質的には、コンビネーションジャンプのセカンドジャンプとして3回転トーループを飛ぶので、単体で飛ぶことはあまりないと思う。

もし単体で飛んでいる人がいたら、軟弱者と言って笑ってもよいのではないか。
ましてや、男子フリーでダブルアクセルなど飛ぼうものなら、座が一気に白けるはずである。

男子のフリー構成も、基本的に女子と変わらない。
むつかしいジャンプから先に飛んでいき、お休みパートを挟んでもう一度最初の難ジャンプをシングルで飛ぶ、という構成だ。

ジャンプの順番は、4回転×トリプルトー、トリプルアクセル(これもコンビネーションで飛ぶ人もいる)、フリップ、ループやサルコ、もう一度4回転。ややおいてルッツ、とこんな感じだ。
もちろん法則はなく、人によってまちまちである。

 

以前は、ジャンプを飛ぶ前にリンクを2周も3周もしてなかなか飛ばず、もったいぶっていた選手もいたが、最近ではそれをすると減点になるらしい。
あまり序走が長いと、よいジャンプとはみなされないのだ。

だから男子選手のフリーは昔は随分間のびした、退屈なものだった(女子の場合は同じように退屈でもパンチラがあるため、退屈感がそがれていたのである)。

しかし最近では技に4回転が増えたため、しょっちゅうジャンプを飛ばなくてはならないから、呑気にリンクを回っていられなくなった。
だから、男子フリーを見ても今では退屈することは滅多にない。

何しろ4分半の間にジャンプを7つ以上、スピンを3つ以上、ステップを3つ入れ、その他にイーグル(足を開いて横になって滑る)バレージャンプ(足を開いてジャンプ)などしていたら、いくら時間があっても足りない。すごい時代になったものだ。

退屈なフリーに遭遇することがあるが、それはとても下手な選手の時である。
このフリーは退屈だ、と思ったらその選手が下手なのだと思えば良い。
これだけの技をして、なお退屈なのならある意味、才能かもしれないが。

 

ペア

ペアは、男女シングルで使うジャンプ、スピンの他、ペアでのみ行なうペアならではの大技がある。

それは、ペアスピンのほかデス・スパイラル、リフト、スローイングジャンプ、ツイストリフトなどである。

ただペアはなぜか日本ではあまり人気がないためか、ちゃんと放送してくれない。だから日本人には馴染みが薄いのが残念な所だ。

ペアのショートプログラムも、男女シングル同様、技の種類が限定されていて、ツイストリフトはダブル、となっているが、そろそろ規定を変えたらどうだろう。
ほとんどのペアがトリプル・ツイストリフトが出来るのだから。

 

日本でちゃんとした放送があまりない、ということに影響され、SPのペアの技がどのような規定なのか、私はきっちりと把握が出来ていない。だからこれ以上、説明出来ないのが心苦しい限りだ。
ちゃんと放送してくれれば、喜びいさんで説明するのだが。
(男女シングルと同様規制があり、行なう技の種類、回数が厳密に限定されていると思う。)

 

ペアは、シングルで使う技も同じように取り入れられている。

ジャンプ、スピンなどだが、これらは必ず二人同時に行なわなければならないので、シングル競技よりも当然ながら少し簡単なものになっている。

即ち、ジャンプは、トリプルも飛ぶが大抵トリプルトーループ、ダブルアクセルどまり。
スピンは足かえの抱え込みの一番オーソドックスなもの。
けれども二人で息を合わせ、回転の早さをまったく同じにしなければならないので、ユニゾンの難しさが加わる。
ジャンプも同様、同じタイミングで、同じような角度で、同じように飛び着地しなくてはならない。
そうでなければかなりみっともない。
このようにペアならではの難しさが加わる。

 

ペア、フリーではスローイング・ジャンプもリフトも2回以上する。デス・スパイラルも2回のようだ。
記述が曖昧なのは、ちゃんと把握していないからだ。すみません。
ちゃんと放送さえしてくれれば、把握出来るのだが。

というわけで、ここでは技の説明だけでお茶を濁す。

デス・スパイラルとは、男子が女性の片手を持ち、女子を氷と並行になるくらいまで倒して女子の体をまっすぐに伸ばし、自分の回りを女子のエッジで回転させる(2回転くらいさせるのが良)。
文章で説明するとすごくアホである。もっとよい表現がないのか。

リフトは文字通り、男性が女性を自分の頭の上に持ち上げて、そのまま氷の上を滑る。
片手で持ち上げるとより良い。どのような持ち上げ方をしても良いとされるが、上にいる女性の耐性により、形は大体みな同じになる。
最近ではリフトの入り方、おろし方にまで工夫がされている。
(女子が男子の前でくるりと1回転してから上に上がるなど)

ツイストリフトは、女子を上にぽんと上げて(女子は体を横にして)回転させる。最近ではほとんどがトリプルツイストリフトを行なっている。
中国の選手が特に上手い。

スローイング・ジャンプはペアらしい大技で、女子が男子に放り投げられつつジャンプする。
私の文章の説明はひどい。もっとよい表現がないのか。

男子が放り投げるというより、本当は女子のジャンプを補助すると言った方が正しいのだろう。
これもシングルのジャンプ同様、トリプルジャンプで、サルコーやループなどを飛んでいる。
「スローイング・トリプルサルコー」などと解説者が叫ぶはずである。
中国の選手はダイナミックなスローイングをする。
彼らは、スローイングの4回転も出来るようである。

このほか、ペアではおのおのが回転するスピンの他、ふたりがからまって回転するペアスピンがある。
もっとよい表現はないのか。

このペアスピンで独創的なのがドミトリエフ・スピンであった。
女性が体を真半分に折り曲げて、頭を真下にし片足を真上に上げる。男子が女性の上に上げた足を持って回転する。今でも時々やっているペアを見かける。
ドミトリエフ選手は独創的なアイデアを持った選手だった。

というわけで、私の好きなドミの記述で今回終わり。

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