Philipe Candeloro 99/12/27

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Part1

この時期、フィギュアスケートはシーズンだ。
なので、今の間にどんどん更新していこう。そうしよう。

さて、今日のフィギュア・スケートシーンを語る時、どうしても欠かせないのがフィリップ・キャンデローロその人だろう。

今回は彼について、もうじっくりと書きまくる覚悟である。

始めて見たのは確か93年12月のNHK杯のエキジビション。
その頃男子シングルには何の興味もなく、ビデオに撮っておいたエキジビションで始めてキャンデを見たのだ。

確か「コナン・ザ・グレート」の音楽だと私は思うのだが、エキジビの最初からトリプルアクセルを楽々と跳び、すでにキャンデローロスピン、兎跳びステップも披露していて、驚いたことを覚えている。

それよりも、2度目のアンコールでバック転を2回続けて軽々と跳んでいたのに一番驚いたように記憶する。

無名なのになんかすごい、と思った。
しかしその時はそう思っただけですぐ忘れた。

その時のNHK杯で優勝したとはいえ、フランスの選手だということで、フランスの選手などちゃんと練習しているのか、というくらいフランスを信用していなかったため(今まで男子シングルでフランスの選手など聞いた事がなかったのだ)、うさんくさい奴だ、くらいにしか思わなかったのだ。

翌年明けてすぐ、リレハンメルオリンピックがあった。

この時、私はアイスダンスのさるカップルにご執心だったため、アイスダンスのプログラムを気合を入れて全部録画体制だった。その他のプログラムはフリーだけを録画した。

あとでその録画の男子シングルを見た。

で、驚いた。

今まで、私にとって男子シングルとは、ぴちぴちのタイツに何故か必ずキンキララメのひかりもののコスチュームを着た、その割には、いも顔のお兄ちゃんが、今ジャンプを飛ぶかと見せかけて実はなかなか飛ばず、もったいをつけるばかりの退屈なもの、という意外の何物でもなかった。

フィリップ・キャンデローロは私のその固定観念を、事如くぶち破ったのだった。

フランス人らしく、まずコスチュームがおしゃれ。今でも忘れない。
黒のズボンにチャコールのシャツ。黒いネクタイには、滑ると揺れて、きらきら光るシルバーのタイピン。
そして、ロン毛を後ろでくくった、当時誰もスケーターでそんなことをしている人など見たこともなかった、奇抜なヘアスタイル。

なんて粋、なんてシック、なんておしゃれ。

そして「ゴッドファーザー」。
最後の最後にキャンデローロスピンで締めくくるという、ドラマチックな幕切れ。

あのスピンが競技で許されるのか、と思う間こそあれ、そのドラマチックな演技に心を奪われ、我を忘れて夢中で見入っていた。

ミスがあり、満足な演技ではなかったが、私にとってそれは革命的なものだった。

キャンデローロは3位の銅メダル。
でも他の男子選手はもう目に入らなかった。

リレハンメルのエキジビション。
奇抜でかっこ良かった。ものすごかった。
こいつは人気が出そうだ。そう思った。

で、そのすぐあと、2ヶ月ほど後だったろうか。
日本の幕張で、何とその年の世界選手権があったのだ。

オリンピックで活躍した選手達が大挙日本に来て、その中にキャンデもいた。

ホテルに花束がいっぱい届いている、という新聞の報道を読む。
やはり、彼は人気者になっていたのだ。
特に、日本で。
いかにも日本人が好きそうな選手なのだ。

幕張で、彼はより良い出来で「ゴッドファーザー」を滑った。
そして、その後がすごかった。

テレビに映し出された、「民族大移動」。
キャンデローロの人気のすごさを日本中に知らしめたテレビ中継だった。

リザルトは、2位。4回転×3回転を成功させたエルビス・ストイコがチャンピオンになったのだが、…それさえ、かすむほどだった。

「ゴッドファーザー」は、男子シングルの歴史に残るプログラムだ。私はそう思う。

終わらないのでつづく

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