Saltlake Olympic - Pair Skating

ソルトレイクオリンピック・フィギュアスケートの楽しい鑑賞のしかた
&大胆予想つきペア編

02/2/11

 

ソルトレイクオリンピックのフィギュアスケートで1番先に結果が出るペア。

ペアスケーティングは日本ではいまいち人気がないようだが、一番派手で見栄えのする技が楽しめるのがペア。ぜひとももっと人気が出て欲しい競技だ。

ペアは、単体での技ジャンプ、スピンと、ふたりで行なうスローイングジャンプ、ツイストリフト、リフト、ペアスピン、デス・スパイラルなどの技から成る。

一人一人でする技はユニゾンといってふたりがまったく同じ動きをしないといけない。
ペアでも近年は技が高度になり、ジャンプもトリプルを飛ぶのがごく普通になって来た。
ふたりが息を揃えて同じようにトリプルトーループを飛ばなければならないのだから、ペアはそうとうな技術のいる競技なのだ。

***

さて、ペアというのは一言で印象を言えば力技である。

女性を遠くへ放り投げ、高く持ち上げ、氷の上で廻す。
一番印象付けられるのがこの男性の力持ちぶりだ。

 

私がかつてペアでいちばん好きだったのはミシュクテノク・ドミトリエフ*。

*このペアについては、いつか改めて新しい章に書きたい(出来るのか?)

彼らはリフトの大胆さ、独特のスピンなどで非常に観客にアピールした、アルベールビルの覇者である。
片手で女性を軽々と持ち上げたりなど、大技でプログラムを飽きさせなかった。
また女性の体が柔らかく、ペアスピンでは、彼女が足を高く上げ、180度折れ曲がって男性の足に顔をくっつけて回る独特のスピンで有名になった*。

*のちにドミトリエフ・スピンと言われるようになった。

私はこのように、飽きさせないプログラム作りを旨とするペアが好きである。

彼らの次には、ブラッスール・アイスラーという組があった。
彼らは通称美女と野獣、またはゴリラと美女と言われた。

大男のアイスラーが女性を軽々と持ち上げ、ぶんぶんと振りまわした。
彼らがプロに転向してからは、「人間かざぐるま」とでも言うような無茶苦茶な技で観客に受けていた*。

*(アイスラーがブラッスール嬢の腰を持ち、自分の首の周りでぶんぶんと廻すのである)

とにかく、ペアはそんな力技がものをいう競技である。

私はこのように、ペアと言えば出来るだけダイナミックに、出来るだけあざとく大技で勝負して欲しい、という希望がある。

ペアスケーティングの美しさはアイスダンスで追及しているので、ペアスケートには技を楽しみたいという気持ちがあるのだ。
だから、ペアは飽きさせない技で勝負の組を第一とする。

*例外は、コヴァリコーワ・ノボトニー。
彼らのあまりの可憐さに舞いあがり、とろけそうになり、ウルウルであった。

 

ペアにはもう一つの流れがあり、それはゴルデーワ・グリンコフペアに象徴される上品で、美しさを追及する組である。
悲劇のカップル、ゴルデーワ・グリンコフはその悲劇性で日本でも大変人気があったが、私は先に言ったようにあざとい派なので、上品に過ぎるゴルデーワ組は善しとしない。
上品過ぎて私にはもの足りなく、つまらなかった。
しかしゴルデーワ組を批判することは鬼畜と呼ばれかねないので、これ以上は言明を避ける。

ただ、ペアにはこのように上品組とあざとい組の2派があるという事は、覚えておいても損はない。試験には出るまいと思うが。

***

さてソルトレイクのペアは、ベレズナヤ・シハルリドゼ(発音は違うが、慣例に従う)、サーレ・ぺルティエ、シェン・ツァオ(発音は違うが勝手に推測で書いている)の中国ペアが三つ巴である。
ショートプログラムを終えた段階でベレズナヤ組がトップなのは意外だった。

ベレズナヤ選手は長野オリンピックの時、頭を怪我しながら復活を遂げたということと可憐さで人気が出た、日本でも有名なペア選手である。
技は大胆で、振り付けが美しい。
しかし、時々大舞台でミスをし、不安定なところがある。
最近トップに立っていないから駄目なのではないかと思っていたが、好調のようである。
しかし彼らはゴルデーワ組の流れを汲んでいるので私としては応援するわけにはいかない。
(しかしカナダ組よりは思い入れがあるのでカナダが金を取って欲しくない。したがって、カナダが取るくらいならベレズナヤ組が取って欲しい。
それって、単なるわがまま?)

私が金を取って欲しいのは中国のシェン・ツァオ(表記はいい加減である)のペアである。
彼らはとにかく、スローイング系のジャンプ、リフトなどが大胆である。
スローイングジャンプなど呆れるほどものすごく高く、ものすごく遠くまで飛ぶ。
ツイストリフトはびょーんと高く舞いあがる。
大胆そのものだ。
その大胆さが爽快で大好きなペアなのだ。

ぜひ中国にメダルを持っていってほしいが、ロシア系の優雅な滑りになれた審判はこのペアを善しとはしないだろう。
もう結果は分かっているようなものだが、めげずに頑張って欲しいものだ。

 

アメリカから、イナ・ジマーマン・ペアが出ている。

キョウコ・イナは、日本で生まれアメリカに渡りアメリカ国籍を持つ。
以前はイナ・ダンジェンというペアを組んでいたが、ダンジェンを佐藤ユカに横取りされたという悲運の持ち主。

しかしめげずにジマーマンという新しい選手とペアを組み、オリンピックも2度目なのだから、やはり才能があるのだろう。
地元という事でプレッシャーがあると思うが活躍して欲しいものだ。
ただ、新しい相手のジマーマン選手は、ルックスはいいが時々へまをする頼りのない選手なので少し心配だ。

ともあれこのようにペアは楽しくスリルがいっぱいだ。
エキジビションでいちばんおちゃらけが出来るのもペアだ。
ペアのフリーは2月12日。ぜひ注目を。

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