Joy of Ice Dancing アイスダンスの楽しみ


Photo by Yukari


フィギュアスケートの競技の中で、一般の、さほどフィギュアに興味のない人は、アイスダンスとペアスケーティングの区別がつかないのではないかと思う。

女子、男子シングル、ペアまでなら分かるが、アイスダンスも男女ペアで競技するし、ペアスケーティングとどこで区別されているのか、分からないのではないだろうか。

確かに、アイスダンスはあいまいな競技だ。
私も見ていて、技のどこで得点を入れているのか、見当がつかない。
だが、ペアとの違いははっきりしているのだ。

ペアスケートには、「スローイング・ジャンプ」「ジャンプ」、「ペアスピン」など、シングル競技で行う技が沢山入っている。
そして「デス・スパイラル」や「リフト」など、ペアならではの大技がある。
ペアは、おおむね、技の競い合いである。
フィギュア競技で、もっとも派手な技があるのがペアである。

それに対して、アイスダンスは、リフトもあるにはあるが、(基本的に)男性の腰から上に上げるリフトは禁止されているとか(註)、リフト自体もあまり力技を入れてはいけないような規定がある。

(註)正確には、「リフトする人は手を自分の頭より高くあげてはいけない」、(つまり肩のラインより高く腕を上げてはいけない)というのが正しく、これは私の記述間違いです。

なぜなら、アイスダンスは、氷上の社交ダンスであって、フロアで踊る社交ダンスを、氷の上で踊る、というのが基本だからである。
だから、競技に使う音楽も、タンゴやワルツ、ジャイブなど、ダンス音楽が基本になっている。

得点を競うのは、ダンスのステップが二人で揃って踏めているか、むつかしいステップを取り入れているか、よろけずに踏めているかなど、本来はステップ中心に競うのだ。
トーヴィル&ディーンの出現以後、ダンスは変わったと言えるが、アイスダンスの得点つけの基本は、今でもやはりステップだと思う。

だから、アイスダンスは、ペアのような派手な技はない。
ジャンプしたり、女性を放り投げたり、女性をたかだかと持ち上げて、リンクを一周するという場面はないのだ。スピンさえない。

でも、それでは見ている方はリンクをただくるくる廻っているだけのようなので、退屈するから、変化を持たせるために、徐々にリフトやホールドの変化をあみ出し(トーヴィルたちが…)、アクティブな、社交ダンスとはまた異なった、独特のものになって来たのではないだろうか。

ともあれ、アイスダンスは、呼んで字の如く、ダンス競技なのである。

***

さて、アイスダンスの選手たちは、普通のシングル競技などの人たちより、年齢が高い。
激しい運動力はいらないから、年を取っても続けられる(笑)とも考えられるが、ダンスというエモーショナルな競技は、ある程度年を取ってこそ感情表現などが出来るようになる、とも言えるだろう。
ダンス選手の表現力は、確かにすごいものがある。
そういう部分はやはり、まだ10代の子供には無理であろう。

そして、アイスダンスの女性の選手は、美人が多い。
何せ、芸術的なドラマの表現という競技なので、容姿も、とても重要なのである。
だから、特に女性は美女であることが、条件なのだ。
そうでなければ、アイスダンスの、夢のような世界を実現することに、ハンディキャップがあるだろう(但し、年はある程度取っているが/笑)。
映画女優が美しい方が良いのと同じである。

***

アイスダンスの醍醐味は、4分半の演技の中に、映画のドラマのような、ドラマチックなストーリーを描くこと、4分半の中に濃密なドラマが集約されているところである。

フロアの上での社交ダンスとはまた違うのは、この氷の上で、ステップを踏みながら、ドラマを描いていくところだろう。
もちろん、正統的なダンスのカップルなら、ステップだけで勝負するだろうが、そういう組は、昨今では少ない。

複雑なステップを踏みながら、男と女のドラマを描いていく…、近年のアイスダンスは、こうした表現が中心になっている。

どのカップルも多かれ少なかれ、ドラマを描き、ドラマチックなものを目指している。
衣装も、どの競技よりも派手だし、メイクにも凝る。
最近は、ダンスでも大技を入れるのは、普通のことになって来た。
どこまでもドラマチックに、というのが最近のダンスだと思う。

私がアイスダンスを好きなのは、多分、美しい衣装に身を包んだ美男美女が、映画よりドラマチックなストーリーを演じる、4分半の夢のような時間に、美しい、アイスダンスだけが表現できる世界が現出する…そこのところにあると思う。
私はむつかしいステップを踏んでいるとか、こういうことをしたら得点が上がるのだとか、そういう風な、専門的な見方は(キャンデローロの項に書いたように)出来ない。
ただ、美しさ、夢のような美しさにうっとりとする。
うっとりさせてくれるカップルが好きだ。
しばし、夢に浸らせてくれる、そんなアイスダンスが好きなのだ。

アニシナ&ペイザラーも美しいが、ウソワ&ズーリン…。
あでやかではかなく、壊れそうなガラス細工のように悲しいくらい美しい、ダンスだった。
…また、後述する機会もあるだろう…。

7/17


 

アイスダンスの得点の基準や、用語などについて、素人が自分の考えで書いたものなので、必ずしも正確ではなく、単純な記述間違いがあると思うが、あくまで、私の目で見た、私の感性で感じたままを書いたので、容赦いただきたいと思う。

アイスダンスにも規定とフリー演技があり、使う音楽はフリーの場合は必ずしもダンス音楽とは限らず、最近はボーカル入りの曲も許可されているようだ。
フリーの前の規定(オリジナルダンスとか、何とかいう2種類がある)ではダンス音楽が使われているが、そういうことは、素人の私たちにはあまり関係のないことと思い、記述を単純化した。

  inserted by FC2 system