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キリストの洗礼
Baptism of Christ
アンドレア・デル・ヴェロッキオ
Andrea del Verrocchio
ウフィツィ美術館 1473頃
ヴェロッキオはむしろ彫刻家として有名で、絵画作品はあまり残されていないらしい。
この作品は、弟子のレオナルドとの合作として超有名な作品で、左側にひざまづく二人の天使の、
左側をレオナルドが
描いたとしてよく知られている。
その力量に感嘆したヴェロッキオが以降、筆をおいたという伝説が残っている。
確かに左側の天使の写実性と、自然さと、衣服のひだなどの巧みさ、そして天使の美しさなどは この絵の最大の見どころだ。
ヴェロッキオは大規模な工房を構え、ほかにもロレンツォ・ディ・クレデイなど優秀な画家の弟子をたくさん抱えていた。
そのほか、ギルランダイオやルカ・シニョレッリなどの名前も見える。
だが画家としてよりも、彫刻作品の方が沢山残されており、画家としては弟子たちの方が有名だ。
工房は、おそらく総合的な美術作品を扱う場であったのだろう。
この作品でも、彫刻家としてのヴェロッキオの肉体表現が、二人の聖人を生々しくリアルにとらえている。
さて、「キリストの洗礼」は聖書(新約)の中でも有名な場面なので、多くの画家に描かれているが、
イエスがヨルダン川に赴き、預言者ヨハネに洗礼を受ける場面だ。
ヨハネは悔い改めよ、天国は近づいた、と、近くユダヤの王が登場することを預言する。
そこにイエスが現れ、ヨハネはイエスに何かを感じながら洗礼を施すという場面。
右側でイエスに洗礼を施すのが洗礼者ヨハネで、通常、長い十字架を持った図像として現される。
聖ヨハネとも言われる。
荒野で修業をしたので、しばしば毛皮を着た姿でも現される。
天使は想像物で、この場には相応しくない関係のない存在だが、構図的に安定しているので置いたものだろう。
ルネサンス期にも天使は重要な役割を果たすものとしてよく図像に描かれている。
盛期ルネサンス期の洗礼図として、あまり評価の高い作品ではないようだが、
主題が明確に分かりやすく描かれている、代表的な作品と言えると思う。
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その他のヴェロッキオとヴェロッキオ工房の作品
ヴェロッキオ工房 トビアスと天使
ルネサンス時代、商業が盛んになった都市で信仰されたトビアスと天使のテーマを、ヴェロッキオが手掛けたもの。
天使が少年のトビアスの道中を導く、微笑ましい場面が伝統的に描かれる。
天使の左側にいる犬をレオナルドが描いたとされる。
左 ヴェロッキオ工房 聖母子 右 ヴェロッキオ 聖母子
どちらも背景にのどかな風景を配し、装飾的なベールを被った聖母と、あどけない幼児キリストを描いた、
敬虔な聖母子像。
聖母の衣装はルネサンス当時の衣服に描かれている。
聖母の母性がよく表現されているようだ。
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