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Benozzo Gozzoli
ベノッツォ・ゴッツォリ
東方三賢王の行列1459-61
Cappella dei magi corteo con lorenzo piero e giovanni de medici
フィレンツェ メディチ・リカルディ宮
「東方三博士の礼拝」といえば、ふつうはキリスト教の福音書の一節を絵画にしたもの。
馬小屋で生まれたキリストの誕生を祝いに東方から星に導かれた三人の博士たちがやって来るという、
まあ福音書での架空のお話だけれども、キリスト生誕の祝いにはよく宗教劇などでも演じられる、
キリスト教では有名な一場面。
絵画でも、ルネサンス初期ころから、またはゴシック時代からかもしれない…、
よく描かれて来た宗教画における代表的な題材だ。
この壮麗で、華麗な風俗絵巻という感じの絵は、 東方三賢王という日本語のタイトルになっているが、
その東方三博士のエピソードを借りて来て、現実のメディチ家になぞらえたもの。
どの画家でもこの題材をよく描いたと思うけれど、ゴッツォリという画家は、あのフィレンツェ・ルネサンスの
パトロンとしてとても有名なメディチ家に仕えた画家だったようで、生粋のフィレンツェ人だったのだろう。
時代としてはボッティチェリよりも少し早く、レオナルドよりはさらに前の人で、
フラ・アンジェリコの助手をつとめたということだが、その作風はこの絵でも分かるように当世の
世俗的なもの。
その頃(盛期ルネサンス)にはすでに、 聖書の題材ではあっても、
もはやその題材よりも風俗を描くことが主眼となることも多かったのだろう。
*
メディチ家の人々を三博士に見立てて、イエスを祝いに来たはずの博士たちを豪壮な行列に仕立て上げ、
メディチ家の威光を存分に知らしめるという絵になっている。
描かれているのはメディチ家の持つリカルディ宮という宮殿の礼拝堂の中なので、
そこからもメディチ家のために描かれたものだと分かる。
この絵の最も目立つところにいる、白馬に乗った若者(若い王)はのちのあの名高い
ロレンツォ・イル・マニフィコで、その後ろにいるのは彼の父ピエロ、そして祖父コジモもいるということだ。
(ちなみに画家ゴッツォリの自画像も、群衆の中に含めているらしい)
もはや三博士などどこへやら、メディチ家の三賢王を称えた、ひたすら壮麗な祭典絵巻。
宗教性はないに等しいかもしれない。
けれどもこのメディチ家の繁栄や栄華をそのまま伝えているようなこの華やかさ、
当時の華麗な風俗、今が盛りという感じのフィレンツェの様子をまさに眼前に目の当たりに
見せてくれる壮麗さ。
フィレンツェの花のようなルネサンスの盛りがそのままこの絵に表現されている。
ルネサンス時代のメディチ家がいかにルネサンスのパトロンとして繁栄を誇ったかを
とくと今に伝え、華やかで装飾的で、時代の風俗も、時代の空気さえも忠実に
反映させ、描写しつくしたかのような、心躍る作品だ。
ゴッツォリという画家は初期ルネサンスに属する画家とされ、ほかの作品はあまり知られていないが、
聖フランチェスコの生涯を描いてもいるらしい。
* タイトルは、「西洋絵画の281人」によった。
Cappella dei magi parete ovest senza scantonatura
行列のつづき
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参考文献 週刊朝日 世界の美術 昭和54年
美術手帖 5月号増刊 西洋絵画の281人 1995年
TIME LINE(WEBサイト 旧アートatドリアン)
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