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EVA PRIMA PANDRA

 

エヴァ・プリマ・パンドラ

 

 

ジャン・クーザン
Jean Cousin

 

1538ころ

 

17/3/19

 

ルーブル美術館

 

 

EVA PRIMA PANDRA-エヴァ・プリマ・パンドラ━━とはどういう意味か…

 

かつてパンドラであったエヴァ、 という意味だそうである。

 

エヴァとは、アダムとイブのイブ、すなわちエヴァのこと。

 

 

そしてパンドラは、ギリシャ神話で神の作った最初の女性であり、あの開けてはいけない箱を開けたために、

世界にありとあらゆる災いが飛び出して行った…、

 

そのきっかけの女である。

 

 

エヴァは、この絵の銘文によるとパンドラの箱を開けたパンドラでもあり、すなわち、
罪の女、のシンボルであるのかもしれない。

 

 

ジャン・クーザンはエヴァとパンドラを重ね合わせるようにして、人間の堕落のもととなった原罪の女として
この絵を描き、このタイトルをつけたのかもしれない。

 

 

 

しかしこの絵を描いたフォンテーヌブロー派に属するジャン・クーザンは、フォンテーヌブロー派には
珍しく名前の分かっている画家。

 

フォンテーヌブロー派の優美な作風で描かれた、まるでヴィーナスのようなポーズをとるエヴァ=パンドラだ。

 

もちろんルネサンス期から多くの画家に描かれて来た、横たわるヴィーナス像をもとにして、
女性の裸体を描いた作品だろう。

 

 

彼女が左手を添えているのはパンドラの箱(もともとは壺であったという)、
優雅に手をかけている壺は、どことなくアール・ヌーヴォー風の装飾的な壺で、
彼女がまとっている悩まし気な布と共に、優美で蠱惑的である。

 

 

だが、壺に手をかけたその腕には蛇が不吉に絡みつき、

 

右手で彼女が何気なくよりかかっているのはなんと骸骨だ。

 

それは、この世の儚さの象徴だろう。

 

罪の女が骸骨に寄り添い、禁断の壺に手を添える。

 

人間の堕落を描いた絵でもあるのだろう。

 

 

 

だが、絵の印象は、そのような意味よりも、フォンテーヌブロー派らしい甘美な優雅さの方がまさっている。

 

どこか遠くの景色が見える洞窟の内部にでも横たわっているのだろうか。

 

ヴィーナスのような均整の取れた美しい肉体と、すっと鼻筋のとおった横顔が印象的だ。


もたれかかっている骸骨も何だか装飾的に見える。

 

 

ヴェネツィア派のような豊かな大らかな女性美というよりも、フランス風に少し冷たい官能の交じった、
洗練された美の世界だろう。

 

 

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参考 西洋絵画の281人 1995年

 

    西洋絵画の主題物語 1996年↓

 

  

 

 

 

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