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月歴画 : 4月
Francesco Del Cossa
フランチェスコ・デル・コッサ
1470年 フェラーラ パラッツォ・スキファノイア(フレスコ画)
Allegory of April Triumph of Venus
イタリア・ルネサンスが花開いた時代、1400年代はフィレンツェだけが当然ながら芸術を育んだ町ではなかった。
フェラーラという町はイタリア北部(?)の町はエステ家に支配されていて、その保護のもと、この町でも
独自の芸術や画家が活躍していらしい。
画集で見たこの絵は、フェラーラの町の無憂宮(パラッツォ・スキファノイア)という宮の、
2階大広間の「月歴の間」の壁を飾るフレスコの連作だそうだ。
全体で12ヶ月あったそうだが、現在は破損しているものもあるらしい。
その中で、この絵は12か月のうち4月を描いたもの。
上下3段に分かれ、下段は年中行事に関するもの、中段は黄道12宮の寓意図、上段が各月をつかさどる神々の「勝利」
の場面が描かれているそうだ。
その中で、私が惹かれたのは、この上段のほとんど風俗図と言ってもいい、当時の人々の衣装やいでたちを
忠実に再現して描かれた、生き生きとした当時の人々の様子。
この絵は、いちおう「ヴィーナスの勝利」という題がつけられていて、中央の川に白鳥に引かれた山車に乗るのが
ヴィーナスで、右上には3美神が裸体で描かれている。
いちおう、神話の題材に基づいてはいるものの、登場している人物は、ほとんどが当時の人々そのままの
衣服を身に着けていて、ルネサンス期の風俗や当時着られていた衣装がどんなものか良く分かり、
私にはとても楽しい図なのだった。
男性の上衣や左右で色違いのタイツ、女性の胸の少し上で切り替えのあるドレスなど、
ヘアスタイル、持っている楽器などを含めて、いくら見ても見飽きない、風俗画としてとても楽しいものがある。
左側は、絵の左部分。手前の男性の左右で色の違うタイツが当時のおしゃれだったのだろう。
巻き毛も当時の男性の特徴だった。
後ろを向いている女性たちの帽子や、ドレスのデザインも、当時のルネサンス期にはこのような風俗だったのかと、
とても楽しい。
右側の図は、川を隔てた絵の右側。裸体の3美神の下に、恋人たちや、楽器を持った若い人々が集う。
男性の巻き毛のヘアスタイルや、女性の、アクセサリーでアップに結ったヘアスタイルなども
くっきりと描かれていて、当時の流行が良く分かる。
男性の衣服や、女性のドレスの様子も驚くほど細部までよく描かれている。
ルネサンスには、宗教画から始まり、このような風俗画もよく描かれるようになった、その証だろう。
Allegory of March Triumph of Minerva
月暦画 3月 ミネルヴァの勝利
こちらは3月
参考 週刊朝日百科 世界の美術43 昭和54年
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