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伝・源頼朝像

神護寺 13世紀初(鎌倉時代)

 

 

 

現物は、画像ほど黒い装束の模様が見えるわけではなく、単に真っ黒にしか見えない。

 

背景ももっと暗いし、そのくらい中に白い顔が浮かび上がっているのである。

 

 

衣服が四角く折り紙のように見え、その幾何学的な造形の上に、非常に緻密な、繊細でリアルな表現の顔が乗っていて、
そのコントラストがこの絵の最大の見どころのように思える。

 

大和絵がどうのこうの、似せ絵がどうのという前に、ただ絵の持つ力が圧倒的で、
日本において、肖像画がここまでの表現を獲得していたかと、ひたすら驚くばかりの作品だ。

 

 

昔から源頼朝像とされて神護寺に伝わって来たものだが、近年、研究が進んで、実はこの絵は源頼朝を
描いたのではなく、別の人物だという説が出され、一般的にも認められ、今ではこの絵は「伝源頼朝像」とされている。

 

けれども、絵画を鑑賞する時、誰を描いたかは、ほとんどどうでも良いのではないかとも思える。

 

ただ描かれた顔の厳しさ、凛とした佇まいに権力者の威厳と冷たさのようなものさえ感じさせ、
それが見る者に畏れさえ抱かせる。


すぐれた肖像画として、ただ鑑賞すればいいのではないかと思うのだ。 

 

 

 


伝平重盛像

 

 

神護寺に伝頼朝像と対で伝わって来た平重盛像。

 

上の頼朝像とほとんど同じ色調で、おなじバックなのだが、画像が鮮明なものが見つからなかった。

 

厳しく冷たい表情の頼朝像と違って、こちらは口の上の髭のせいもあるのか、どこか間の抜けたような貴族の肖像に見える。

 

本来は東京国立博物館にある、藤原光能像と3幅対らしい。

 

 

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