世紀末ウィーンのグラフィック展
2019/5/23
「世紀末ウィーンのグラフィック
デザインそして生活の刷新にむけて」
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2018/429.html
京都国立近代美術館
会期 2019年1月12日(土)~ 2月24日(日)
巡回 目黒区美術館 2019年4月13日(土)~6月9日(日)
京都国立近代美術館で、2019年はじめにやっていた展覧会。
美術館側の説明によると━
「当館は、
2015年に世紀末ウィーンのグラフィック作品コレクションを収蔵しました。
このコレクションは、アパレル会社の創業者、平明暘氏が蒐集したものです。
1897年の分離派結成から1914年の第一次世界大戦勃発までのウィーンでは、
グスタフ・クリムトやヨーゼフ・ホフマンらを中心に、
新しい時代にふさわしい芸術そしてデザインのあり方が模索され、数多くの素晴らしい成果が生まれました。
中でもグラフィックの分野は、印刷技術の発達や雑誌メディアの隆盛を背景に、
新しい芸術の動向を人々に伝え、社会に浸透させる重要な役割を担いました。
本展では、300件にのぼる膨大なコレクションの全貌を紹介するとともに、
同じく平明氏旧蔵のリヒャルト・ルクシュによる石膏彫像と貴重なアドルフ・ロースの家具一式をも加え、
世紀末ウィーンの息吹と魅力をお伝えします。 」
クリムトを中心とした、
分離派の活動を取り上げているというので、見に行った。
京都国立近代美術館が収集したものらしい。
東京でクリムト展を(2つほど?)やっているようだが、
こちらには巡回がなさそうなので(ひとつだけ大阪であるのかな?)
悔しくてたまらず、←悔しがりなので
気がついたら、ウイーン分離派の展覧会をやっていたので、どんなものかと見に行くことにした。
年の初めだった。
チケット
悔し紛れ(笑)に見に行ったのだが、ウイーン分離派のさまざまな工芸が見られ、
意外と収穫のあった展示会だった。
何より、写真撮影がどの作品もほぼ可能だった。
(家具の部屋以外。家具は撮影禁止だった)
そんな展覧会は、京都では初めてだったので、非常に驚いた。
リトグラフの版画や、工芸品、展示会のパンフレットやポスターなど、当時の大量生産品のためだろう。
カメラを持って行ったので、驚きつつ、撮りまくった。
世紀末らしいサロメ
コロタイプによる
シーレ特集?
ウイーン分離派(セセッション/ヅェツェッシオン)は、世紀の変わり目にクリムトたちがウイーンで結成した、
新しい美術運動だと理解して、かなり昔、美術書を買って、嵌っていたことがある。
セセッションに参加した人たちが、会報として出していたのが、「ヴェル・サクルム」(聖なる春)で、
この響きに、若き日(笑)にずいぶん憧れたのだ。
その会報が、目の前に何冊もあって、驚いた。
かつてあれほど憧れた「ヴェル・サクルム」が、目の前に。。
嬉しさのあまり、写真に撮りまくったが、ブレブレ(>_<)
当時、版画による大量生産が可能になったことで、芸術の世界もがらりと様変わりしたことが、伺われた。
版画によって、美術が日常的な工芸品と融合してゆくさまは、同じ時期であるはずの、
フランスのアール・ヌーヴォー、英国のウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツの仕事と、
まったく同じ展開だったことも、今回の展示で理解出来た。
展示品が、殆どアール・ヌーヴォーそのままなのだ。
カッコいい
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フランスの影響を受けたとか、イギリスの影響だとかということではなく、
世紀末から20世紀初頭に至る、産業革命を挟んで、工芸が盛んになってゆくのは、
(一部の特権階級にのみ興じられていたそれまでとは違い)
西欧のどの国でも同じだったはずだから、美術活動も、それぞれの国で、その社会情勢に影響を受け、
工芸として、版画の大量生産として、どの国でも似た感じに大量発生したものだと感じた。
新しい美術工芸の可能性を探る芸術家たちの、ビッグバンのような感じがした。
クリムトが、工芸や装飾デザインに深く関わっていたことも納得できる。
クリムトの絵画が装飾的なのは、もともとクリムトが装飾デザイン派だったからだろう。
デザイナーとしては、クリムトは超一流なのだ。
クリムトの絵画をコロタイプ印刷したものもあり
面白かったのは、分離派(セセッション)の活動家たちの、
結婚式の招待状や、自分たちの展覧会の案内状が展示されていたこと。
招待状でさえも、世紀末アール・ヌーヴォーのデザインが顕著で、とても楽しい。
版画だから、集めやすいこともあるだろうし、だからこそ、絵画と違い、写真撮影してもいいのだろう。
新しい展示のあり方かなと思った。
(ルーブルは古い絵でも撮影しまくれるんですよね…羨ましい…
日本は、絵の具や材質の関係で劣化しやすいから、撮影不可なのは分かるのだが…)
以下、本の装丁
EX LIBRIS(蔵書票)
*蔵書票が沢山展示されていたが、
欲しい(笑)。
お土産にしおり
洒落ているので思わず
マスキングテープ
素晴らしいデザインなので思わず
ポストカード これも蔵書票
蔵書票そのものが欲しいんですぅ!