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Exhibition Preview

戦国時代展

A Century of DREAMS

2017/3/28 17/7/16up

2017年2月25日~4月16日 京都文化博物館

 

京都文化博物館で開かれていた「戦国時代展」へ行って来た。

これに行きたかったのは、何と言っても狩野永徳の「洛中洛外図屏風」がどさくさに紛れてまた京都で見られるから。

屏風は3月22日までの公開なので、それまでに何とか行こうと思い、頑張って行って来たのだった。

 

洛中洛外図の本物は永徳展で見て以来だ。

よく高精細の複製図がわりとどこにでも飾られていて、それを見ていても本物とあまり遜色はないのだが、
そこはやはり何と言っても本物が見たい。

もう一度永徳の本物が見られるとは思いもしなかったので、このチャンスにもう一度じっくり細部まで、
ディテールまで細かいところまで、心ゆくまで、
きっちりと見たいものだというムラムラとした思いが抑えられなかったのだ…

 

行ってみたら、烏丸通の向いの大垣書店でも大きく宣伝。

「どんな夢を見ることだって、できた。」

そうだね。

戦国時代、人が死と直面していた時代だが夢もあった。

それがいつまでも現代の我々の心も引きつけるのだろう。

 

三条通りに面した辰巳金吾設計の文化博物館本館の建物の前に看板。

 

この戦国時代展は、江戸東京博物館、京都文化博物館、そして米沢の上杉博物館へと巡回した。

そのおかげで、洛中洛外図屏風も見られるのだ。 

 

文化博物館ではほかの催しも。 映画も上映している

 

祇園祭の名宝や、東寺百合文書、武家装束などが別の階で展示。

なかなか興味深い展示だったので、同時に見て来た。

 


なぜか中庭にまゆまろもいた

 

3階の入り口の大きな宣伝A Century of DREAMS

良いタイトルだ…

 

刀剣乱舞の記念撮影のコーナーもなぜか。
若い女性の列が出来ていた…

 

1階のフロアには文化博物館の建物全体のミニチュアが展示されている。

本館がどのような形で保存されているかが良く分かる

 

 


チケット トマトカード割引で入れた

戦国時代の武将の名前は、大して憶えていない。

主だった有名な人だけ…、というより私は上杉謙信ひとりが大好きなので、
もう謙信関係のみが目当て。

 

まあしかし、展示は戦国武将がアトランダムに、日本各地の武将があまり脈絡もなくずらずらと並んでいた、
という印象だった。

武田、毛利、北条、細川、三好、尼子、大内などなど。

 

が、はじめにまず真田の茜染の旗。

あの六文銭が染め抜かれた真っ赤な旗だが、麻の生地なのに保存状態の良さ。

その旗を棒に通すためのタブ?に細かい刺繍が施されている。(ものすごく小さい)

この刺繡のひとつずつがデザインが違っていてお茶目でおしゃれ。

これで一気にテンションアップ。

 


合戦図 信玄対謙信


川中島の合戦図(多分江戸時代のもの)もいろいろ。

岩国本と米沢本が出ていたらしい。

信玄と謙信の対決の図もちゃんと描かれていて、それを探すのが楽しい。

 

合戦に使われたアイテムも豊富に品ぞろえ。
鎧兜は勿論、合図のために使われた鐘やほら貝など。

 


国宝 上杉家文書 武田晴信書状 米沢 上杉博物館

武田晴信(信玄)からの書状を上杉博物館が持ってるんだ…感激だ

 


重要文化財の甲冑 広島・厳島神社蔵

兵士たちが戦の時に身につけた甲冑も展示。

戦場の臨場感そのままが溢れると同時に、頑丈なつくりと雄々しさにも感じ入る。

 


一括出土銭 京都市考古資料館

 

いっぽうで、戦国時代は村や町が成立した時期でもあった。

町人や商人たちが、戦乱の中、自分たちの財産を何とか守ろうとしていた、
そんな必死の自助努力を感じる出土品だ。

写真で見るよりもはるかに巨大な壺が、中身がよく見えるように半分に割られ、
その中にびっしりと小銭が埋め尽くされている。

商人たちの執念すら感じさせるような展示品だった。

 

 

しかし何と言っても米沢市上杉博物館の、上杉家文書、これが圧倒的な見ものだった。

全部国宝。



そして、川中島の合戦の最中に書かれたであろう書状をはじめとして、
北条や今川氏らにあてた、またそちらから来たらしい書状の数々。



謙信(輝虎)直筆もあるし、その跡を継いだ誰それの手紙も。

今大変だからすぐ来てくれ、とか、今回は来てくれて助かった、とか、これを頼むとか、
多分そんなことが書かれていたと思うが、

(ああ…思い出せない きっとそんなことが書いてあったに違いないと信じるのだ)

合戦のさなかでのやり取りの数々が、手に汗握る迫力で書状から迫って来るのだった!

 


そして目当ての狩野永徳筆・洛中洛外図屏風。

永徳展の時と違い、人があまりいない。何なのこの落差は。


ざっくり全図  ざっくり小さすぎて何が何だか

かぶりつきで見ることが出来た。
目の前で、ほとんど人もいない中でじっくり見ることが出来た。

が、それなのに今度こそと思ってディテールを見ようと思ったのに、人は小さすぎて全然分からない。

あれはグラスでないと絶対見られない。

 

弁慶石を見たかったがとうとう見つからず。


これが弁慶石

 
清水寺と金閣寺 金閣寺は雪をかぶっていてかわいい


かろうじて龍安寺はあそこだろう、清水寺や金閣寺などが分かる程度。

 

ただ「貴人の隊列」をじっくり見たので良しとする。

輿に乗って、半分くらい姿を見せているのが謙信ではないかと言われている。

この貴人の隊列が行く先は将軍邸だ

 

この隊列に登場する馬の鞍につける真っ赤な毛氈の鞍覆いというのも展示されていて、感激。

 

絵の中のものにそっくりの上、足利義輝に使用を許されたという能書き付きのもの。

上杉神社と上杉博物館はすごいのを持ってるな。

 

謙信関連は良かった。

泥足毘沙門天はもちろんのこと、何とか天皇からもらったという、名刀(短刀だった)五虎退というものなど。

 

泥足毘沙門天はとても小さい。

謙信の代わりに祀られているお堂から歩いて戦に出かけ、そのために泥足の跡が残っていたという伝来があるという。

 

それから例によって、上杉家文書。

後奈良天皇からもらった綸旨などがずらり。

 

が、最後に群雄割拠の果てに家康が大権現として神として祀られて戦国すごろくの上がり、は
ないんじゃないの…

あれだけの人たちが夢見て駆け巡った戦場のその果てとしては。

と家康を恨めしく思ったりしたのであった。


 


平成29年2月25日~4月23日

同時に別の階で展示されていた、武家の服飾という展示より。

これは江戸時代のものになるが、武士たちの普段着(?)だけでなく、
戦の時にどのような装束や、身を守る付属品を身に着けていたかが分かる、
メインの戦国時代展にも通じる展示内容ではないかと思った。

 

左は鹿皮の脚の覆い。かなり大きいものだった。これを脛に装着して戦場へ出たものだろう。

右は手袋と、射籠手という、袖を弓から守る覆いだという。
このような覆いを特別に袖につけて、身を守っていた。

 

こちらも射籠手のコレクション。

きらびやかな色と装飾で、既に江戸時代においては飾り的な要素が大きかったのかもしれないが、
それでも戦国時代には、このようなもので弦が当たるのを防ぐ役割を持っていただろう。

大変興味深い展示だった。

 

少年の裃なども展示されていた。

麻製で、江戸時代とも思われないほど保存状態が良く、丁寧に、大事に残されていたのだなと思った。

このような時代装束が、驚くようなよい保存状態だったのが見応えがあった。

時代は下るものの、江戸時代の麻の装束がまっさらのように残っているのはうれしい。

昔から今に至るまでの、保存に努めてきた人々の努力が伺われた。よい展示だった。

 

参照 戦国時代展 ちらし

 

 

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