Exhibition Preview

世界巡回展―出版100年記念

ピーターラビットの世界

2003年3/203/31
 大丸ミュージアム京都

03/5/15

ピーター・ラビットが生まれてから100年という。記念の展覧会が去年あたりからさかんだ。

私は、ベアトリクス・ポッター女史の絵本を一度も読んだことはなく、ピーター・ラビットの良い読者ではない。ピーター・ラビットがどういうストーリーなのかは、何も知らないのだ。

ただ、パステル調の薄い上品な色彩で描かれた、良く見かけるイラストは、その色調から決して嫌いではなく、いくつかのグッズさえ持っている。
現在のお風呂のフタも、ピーター・ラビットだ。
ストーリーを知らずともイラストは有名なので、スヌーピーやミッフィちゃんなみにグッズが氾濫している。だから良く知っているかのような気持ちになっているのだ。

そんなわけでこの展覧会に出かけ、―ポッター女史が、もともと植物学者(博物学者)であったことなどに驚いた。

学者だから、研究のために精密な写生が要求される。
ベニテングタケなどを写生し(なぜかベニテングタケが展示してあった)、野原の植物や、風景なども写生したようだ。

博物学の研究からだんだんと動物、兎にスライドしてゆき、ひいては兎の絵本―という具合になっていったようだ。
どおりで、ポッター女史の描く絵本の動物たちは細密で、普通の絵本のような誇張がないなと思っていた。

しかし、良く見ると、細密でリアルだと思っていたピーターラビットも、本物の兎の写生画からしてみると、とても誇張されているのだった。
本当はそんなことは当たり前なのだが…、なぜなら、ピーターは上着を着ているんだから…
それでも、ポッター女史の絵は、普通の絵本に比べるととてもリアルだと思っていたのだ。

けれども女史の兎の写生画と比べると、ピーターラビットは出来る限り目を大きく、かわいらしく描いてあるのだった。

私はポッター女史の絵本を一度も読んだことがなかったので、この展覧会で初めて、ピーターラビットの絵本を立ち読みして読んだ。
絵本だから、すぐに読めてしまう。

そうすると、実はピーター・ラビットという兎が主人公の絵本はたった1冊で、あとはベンジャミンとかなんとかいう別の動物が主人公だったりしていて、あの世界的に有名なピーターラビットの絵本って1冊しかなかったのか、などと、改めて驚いたりした。

しかし、同じストーリーでもスタンダード版のほか、豪華版、ポップアップ版など、さまざまなバージョンが存在し、それぞれ同じストーリーだが、中のイラストは(角度が)違っていたりする。

これは、ちゃんとポッター女史が別バージョンのために新たに描き起したのだろうか。

ともあれ、私はピーターラビットがいたずらする畑の持ち主のマクレガーさんが、すっかり気に入ってしまった。イギリスの、頑固で人の良い農村のおやじという感じだ。

スタンダード版では手とか、お尻とかしか登場しないのだが、ポップアップ版ではちゃんと顔が描いてあって、いたずらするピーターを追っかけまわしている。
畑を荒されてかわいそうなマクレガーさんなのだった。

***

ポッター女史が身に付けていたという、ツイードのスーツが展示されていた。
「着心地はあまり良くなかったが暖かかった」
などと解説されている。

いかにもイギリス風の荒い目の分厚いツイード地で、テーラーカラーの上着と、フレアのロングスカート。色は茶色…。
女史はいつもこの恰好で農園を歩いたという。
朴訥な、素朴な味わいの渋いスーツだった。

女史は、ナショナルトラスト運動に熱心で、イギリス・湖水地方の土地を買って保護したことも有名だ。
彼女のスーツは、その地方の天候や、風土さえ感じさせる。

イギリスには、兎の種類が多かったのだろうか。

日本で兎といえば、兎という名前一種類しか言葉がない。

でも、英国では、ラビットの他にバニーとも言うし、ヘアという言葉もある。

「アリス」で最初に出て来る遅刻ウサギはホワイトラビットで、お茶会に登場する三月ウサギはマーチヘアだ。
ピーターはラビットでも、ベンジャミンはバニーだ。

ウサギの種類によって名前がいくつかあるのだろうけれど、日本ではきっと一種類のウサギしかいなかったのだろう。

そんなことも、この展覧会でふと気づいた。

 

世界で一番古いキャラクターだというピーターラビット。
展覧会場の横には案の定ショップが併設され、グッズが沢山売られている。

ボールペンと一筆箋を買った。
ピーターラビットはこれからも長く人々を和ませ続けるのだろう。

 

 
ガシャポンのピーターラビットフィギュア
マクレガーさんのフィギュアがないのが不満

 

 
こちらは高島屋で去年行なわれた展覧会のちらし
100周年を記念してさまざまな催し

 


バービー・アンド・ピーターラビット(97年)。絵本つき

こちらはいずれ(?)バービーのコーナーにアップしようと思います。
今回は間に合わず。

 

ピーターラビット100周年記念バービー(02年)。 絵本つき
箱の裏には、ポッター女史のラフスケッチ
追いかけるマクレガーさんの絵も…♪
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