Exhibition Preview

東寺宝物館開館40周年記念
東寺名宝展

2005年9月20日〜11月25日

06/5/13

またまたかなり前(去年の秋!)のことなのだが、書きそびれていた。とても良かった展示なのに…
そんなわけで今ごろアップしておく。

 

東寺には数々の仏像があるが、それ以外にもかなりの寺宝がある。曼荼羅図もそのひとつで、東寺が持つ曼荼羅図はひとつだけではなく、江戸時代のもの、古くなりすぎてばらばらに破けたもの、そのほか曼荼羅だけでも様々なものがあるという。

今回は、江戸時代の写しと、平安時代の国宝がそれぞれ日を違えて宝物館で公開された。

曼荼羅図(正確には両界曼荼羅図というらしい)には金剛界と胎蔵界があり、それぞれが公開された。

東寺は、重要文化財指定以上の宝物だけでも15000点にのぼるものを持っているということで、曼荼羅図のほかにもいろいろなものを展示してあった。

 

兜跋毘沙門天は宝物館の2階に常時展示されているが、今回は曼荼羅図がメインだったので、端っこの隅の、暗い所に遠慮がちに立っておられたのが気の毒だった。
端っこだから明かりもあたらず、暗くて良く見えない。エキゾチックな名品が台無しである。

宝物館の中央におられるのは巨大な千手観音で、この方も常時展示というか、常にここにおられる。
もともとは食堂に安置してあったが、昭和初期の火事で焼け、修復されたのちここに引越しして安置されているようだ。

そのほか、仏像では地蔵菩薩や、時には愛染明王などがお目見えすることがある。

階段の脇の踊り場のような台には渡来仏の坐像(実在のお坊さんの像らしい)が飾ってある。

宝物館を入った所(1階)には五重塔のミニチュア(と言っても1メートルくらいはあり、重文)とか、瓦(創建時のお堂に使われていた鬼瓦など)が置いてある。
そのほか箱(お経を入れておくもの?)とか、梵鐘などがあったように思うがもはや記憶があやふやだ。

1階の奥には弘法大師の坐像があるのはお約束。金剛杵を持った腕を捻っているという基本のポーズである。

今回、1階での展示ですごかったのは御輿のようなものにつけるお飾りで、古いものだから色は退色しているが、細工が細かい。

2階のホールには御輿そのものが飾られていた。
これは、本当にのちの、天皇などが乗る御輿のような形をしていたが、本来は舎利か何かを入れるものらしい。いくら説明を読んでも理解出来ない。

 鎌倉時代の「紫檀塗り螺鈿金銅装舎利輦(れん)」とパンフレットに書かれていた。装飾がすべて取り払われ1階に飾ってあるが、それでも四方の面に金でみっちり細かい細工が施されている。

 

2階に上がると、後醍醐天皇とか、後水尾天皇などの歴代天皇の書いた手紙(?)や、屏風だとか、掛け軸などの紙ものが置いてあり、2階ホールに仏像と曼荼羅図があるのだった。

*紙ものの展示はその都度変わる。「十二天」(国宝)が飾ってあったこともある。

前期に公開されていた江戸時代の曼荼羅図は、多分本物を使うと劣化するので複製を作り、それを儀式の時に用いていたものだろう。
平安期のものよりも大きく、ホールの壁一面に張り付いている。

奥の壁にかかっているから近くからは見られない。しかし新しいものだけに彩色は鮮やか。

このような巨大なものを描くのも大変だが、保存するのも、損傷させずに展示するのも大変だろう。
下手なペルシャ絨毯くらいの大きさがある。
ひょっとしたら京間の8畳くらいはあったかもしれない。兜跋が脇に追いやられるわけである。

 

前期の江戸時代の曼荼羅写しは、場所を取るからか、前期をさらに二度に分けて1枚ずつ展示していたが、後期には平安時代の両界曼荼羅図の金剛界、胎蔵界の二幅がいっきに展示。

この二つの大きさは、およそ180×160で、江戸時代のものほど大きくないが、古色が漂っていてかっこいい。
かなり近くに寄れたので、まじまじと見た。


これが両界曼荼羅図 胎蔵界だ

リアルなのは折れ線がついていたことで、昔はきっと、四角く折り畳んで収蔵していたのだろう。
折り畳んだ部分だけ模様が劣化していて、仏様が消えている。

それでも、みっしり描かれた小さな仏様たちに見飽きることはなく、見ていると楽しくなって来る。

端っこの小さな仏にまでちゃんと名前があり、そういう辺鄙なところにいる人たちはリラックスしたポーズなのも面白い。

曼荼羅図のうち、金剛界は大日だけが具象として描かれ、あと大日の回りは抽象的な図像を描いてあるが(詳しくないので違っているかも)、胎蔵界の方にはいちいち具体的に仏様が描かれている。
よって、胎蔵界の方が見て面白く、私は好きだ。

でも私の見かたは、かなり間違っていると言える。

深遠な曼荼羅図の意味がよく分かっていないので、ただ小さな仏様が沢山描かれている、というだけで喜んでいるのである。
その中で、自分の好きな仏(不動など)を探すのが楽しいのだ。


★東寺の宝物館は年中公開しているのではなく、期間限定での公開。春と秋、たまに冬期の非公開文化財公開での時期になる。

★食堂は無料で解放されているが、こちらではアーティストによる何らかの無料展示が常にあるようだ。

 

東寺

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