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妙心寺展

京都国立博物館

2009/5/15

京都国立博物館 2009年3月24日~5月10日 

2017/1再録



だいぶ前のことになるけど京都国立博物館「妙心寺展」へ行って来た。



妙心寺は広大な敷地を持つ臨済宗のお寺だ。

甲子園球場8つ分が入るという。

右京区花園という場所にあるが、今回の展覧会へ行って、花園天皇が自分の離宮を改めて
禅寺としたのが始まりと知り、だからあそこ一帯を花園と呼んでいるのかと合点がいった。



大体において禅宗のお寺は広大だ。

天龍寺、大徳寺、南禅寺、東福寺etc。周辺に塔頭も沢山あり、むやみやたらに広い。

どうしてあんなにだだっ広いのだろうか。

修行をするお寺だから、沢山のお坊さんが暮らすので、住む場所も要る。

建物も多くなり、自然と発展した…ような気がする。


ただ昔のお寺はもともとどのお寺でも広かった。

それが火災や寺地の没収等で現在のような形になってしまった。
昔はどこでも妙心寺と同じくらいの敷地があったのではないかと思う。


というようなことを思いつつ、実は妙心寺へはまだ行ったことがない。

北門から入るべきか、南から入るべきかでずっと迷っているからだ。

北側だと市バスで、ちょうど妙心寺北門というバス停がある。

南だとJRなどで行くことになり、北と南で行き方が全く違うので、
未だにどこから行くのがベストなのか分からないでいるのだ。

 

 

そんな妙心寺展には如拙の国宝「瓢鮎図」とメトロポリタンの狩野山雪の「老梅図」が出るというので行こうと思った。

前の常設展だったか何だったかで「瓢鮎図」を見損ねていたので今度こそ見ておきたかったのだ。
このふたつが見られる後期になるまで待ち、行った。

 

「瓢鮎図」はしかしなあ…。

古ぼけた掛け軸の上部に沢山の讃(感想?)が書いてあり、下にナマズがちょろっといて…こんなんで国宝かい?

これ見るために等伯の猿を諦めたのにさ。
と楽しく脳内突っ込みを入れつつ。


代々妙心寺に力をつくした坊さんのいかめしい肖像画や、天皇の宸翰(書)等が延々と並ぶ。

すると突然白隠の画が現れ、いかめしさが一気に崩れ落ちる。
その落差があまりにも激しく、戸惑う。

白隠は、白隠だけの展覧会を見たいと思った。
あまりにも他との差が激しすぎるのだ。


自分としては、この展覧会での白眉はその白隠の「すたすた坊主」だった。

この絵の前に来た途端、何となく涙が出そうになった。

「すたすた坊主」を見るためだけに1100円を払う価値があるとぞ思う。


これは、素晴らしいとしかいいようがなかった

 


鼠師槌子図 というタイトル
まるで暁斎かと思ったが、白隠はこんなのも描いている



「老梅図」は、何となく狩野永徳の「檜図屏風」と似た感じだと思っていて、
梅の木が画面にのたうち回っている、ような感じを想像していた。

しかし、想像よりもずっとエレガントで、美しい。

確かに梅の木の枝は屏風を突き抜けてまた戻って来るのだが、
ダイナミックというよりは調和が取れた画面作りだった。

後期に行ったので海北友松の絵も満足に見られなかったが、まあ常設展で見ているから良いか。

 

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