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Exhibition Preview

大水木しげる展

2004年8月4日〜8月9日

大丸ミュージアムKYOTO

04/12/15

水木しげるが身体障害者であることを、どのくらいの人が知っているのだろう。

私は何かの雑誌でつい最近知ったような気がする。

彼は戦争でラバウル島に行き、そこで銃撃によって腕にけがをし、その結果、傷口が悪化して左腕を切った。だから、水木しげるには左腕がない。
もちろん、右手があるから絵は描けた。だから、漫画を描くことが出来た。

けれども、戦争が、彼に与えた影響は、或いは傷はそれだけではない。深く、強く水木の心に何かを植えつけたのに違いない。
おびただしい戦争の画を見てそう思った。

何の理由もなく殴る上官、悪化する腕、現地の人々との交流。自分の腕に蛆虫が沸いているのを発見し、それでも平静でいられた精神というのはどんなものだろう。
その精神が、のちの水木しげるを作り上げ、そして、彼を貫く根本なのだろう。

どのような悲惨な状況にも自己を見失わず、冷静に、というよりは飄々として、現実を受け入れる。
水木しげるはそのまま、島に残りたいとさえ思ったそうだ。
彼の目には、現地の人々の生活は楽園と写った。

水木しげるのもうひとつの面を見たと思った。

 

 

 

何でも描けるから何でも描こうとし、あらゆるジャンルをカバーしようと願い、それゆえにあらゆるジャンルでナンバーワンにならなければ気の済まなかった手塚治虫と違い、水木しげるは不器用である。
彼が描けるものはひとつしかない。だから、それしか描けなかったし、描かなかった。

食べてはいけないほど貧窮しても、ある日突然ブームになって時の人となっても、結果大金持ちになっても、描くのはひとつ。変わることをしなかったし、変わることが出来なかった。

この人はしあわせなのだと思う。

自分の描きたいものだけを描いて、生涯を貫いて来た。その結果、世間が勝手に彼を認め、いつの間にか巨匠に祭り上げられた。
手塚治虫が、天才であるがゆえに不幸であったのとは対照的に。


団欒の図。

今、水木しげるは愛する妖怪たちに囲まれて、幸福のさなかにあるだろう。

妖怪は、人間の敵ではない。

運命に逆らわず、自分を嘆かず、呪わず。そのような人には妖怪は友となる。
人生を飄々と生きて来たものの持つことが出来る、勲章だ。

 


ガシャドクロ。読んだことないけど大好き(^_^;)

展示されていたものの中で抜群に良かったのは「妖怪五十三次」。江戸から京まで、妖怪が旅する東海道。無類に楽しい。

展示のあった大丸ミュージアムの外では芸達者なお姉さん(プロの大道芸人らしい)が紙芝居をやっていて、子供や大人たちに受けていた(水木漫画とは無関係)。

私は水木しげるの漫画は、どれひとつ読んだことがない。
キャラクターは大好きだが、彼の漫画は読んだことがないのだ。

ベタが多すぎて画面が黒い。描き込み多いので黒い。私はそういう風な、黒すぎる画面構成の漫画が不得手で読めないのだ。ごちゃごちゃしていると感じてしまう。
出口では沢山水木の漫画が売られていたが、やはり読めない。
ページを開いたら手が汚れてしまいそうな漫画は苦手なのだ。

けれども、目玉おやじや鬼太郎が大好きだ。とくに目玉おやじが好きで、フィギュアを集めている。
珍しいケースと言える。

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