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「源氏物語とシェイクスピア劇の世界」展
中西京子・和紙人形の夢空間
画像入りました。04/11
京都高島屋
2000/1/11
中西京子は有名な和紙人形作家である。
作品集の本も出ているし、人形ファンなら、その名を知らなくてもどこかで作品を見た事があるだろう。その中西京子が、源氏物語とシェイクスピアという、東西の物語から題材を得て人形を創作した今回の作品展。
私は恥ずかしい話ながら、「源氏物語」をよく知らない。というか、あまり好きではないのだ。
主人公はマザコンの女たらしなような気がするし、宮廷の暇人の日常生活をのんべんだらりと描写した退屈な物語という気がするし、どうも好きになれない。だからろくに読んでいない。
こういう偏見が、今回のような作品展を見る時、損だとは思う。この場面のこの時のことを描写しているのか、なるほど、という見方が出来ないから、あまり楽しめない。
物話を知っていたら楽しみが倍増するだろうに。だから、私は作品としての人形そのものを見るという形でしか見られなかったが、やはり、人形者としては見逃せないことは言うまでもない。
展示を見ていたら、説明員らしきおじさんがすすすとにじり寄ってきて、この髪の毛も和紙で出来ているんですよと頼みもしないのに説明をする。
私が「和紙を細く一本一本割くのですか」と質問すると、特殊な紙で出来ているんですと訳の分からないフォローをする。
突っ込みには弱いおじさんのようだった。それはともかく、確かに艶やかな黒髪は、まるで糸のように細く、流れるように身体の線に纏わりつくさまは見事だ。
着物に使っている和紙は何枚も重ねて糊付けされているらしく、紙というより、むしろ紙粘土のようで、かちかちに固められていて、そのポーズのまま動かない。
風にたなびいている、というような描写の場合も、その一瞬、という感じで固めてある。
顔は粘土だろう。彫刻されているものと、小さいものではのっぺらぼうのものとがある。
上品な顔立ちでデフォルメはなく、新鮮さそのものはあまりない。あと、気になったのが、部品に明らかに市販品と思えるものがあったことだ。
私は扇子折職人の娘だから、分かるのだ。人形に持たせてある小さい扇子は、どう見ても売っているものだ。冠なども明らかにもって来たものだ。
まあそんな小さな事はいいか?
源氏物語の時代というのは、雛人形の世界なのだな、と今回分かった。
着ている着物が十二単とか、烏帽子束帯(?不確実な知識)とか、まま、お雛さまの世界なのだ。
これは作者があえて設定を雛人形にしたのかもしれない。
シェイクスピアの方についてあまり書く余裕がなくなった。
マクベスなどの歌舞伎仕立てのもの、真夏の夜の夢のメルヘンチックなど、噛み砕き方が蜷川である。
でも、やはり圧巻はグローブ座とか、「斎宮群行」(?)などのジオラマ。
人形はとても小さいのでのっぺらぼうだが、ウンカの如く無数の人形が群がって、それぞれドラマを形作っている、このジオラマは見物。
特にグローブ座は、360度全方向から見られるようになっていて、舞台の様子から、舞台裏でシェイクスピアが台本を書いているところ、裏方さんが衣裳を準備している所、お客さん同士のけんか、ロイヤルボックスのエリザベス女王、ダフ屋、など、見ているだけでとても楽しい。
きっと作っていても楽しかった事だろう。私も一家に一台、グローブ座が欲しいなと思った。
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