Exhibition Preview

ロックヤーおばあちゃんの宝物
英国ドールハウス展

2004年9月29日〜10月11日

大丸ミュージアムKYOTO

04/11/20

ドールハウスを見るのはいつもとても楽しい。だから、ドールハウスの展示会があると聞くと、つい行きたくなってしまう。1/12だから、お人形には小さすぎるけれども、それほどに小さい小物を精密に作ってあるのや、昔の大きな家をそのままミニチュアとして再現してあるのを見るのは人形好きでなくても楽しいだろう。

というわけで、少し前にやっていたこの大丸でのドールハウス展にも嬉々として行って来たのだった。

しかしタイトルに、「ロックヤーおばあちゃんの」などと、いきなり知らない婦人に対しておばあちゃん呼ばわりである。これに少し頭に来た。

相変わらず、我ながら何にむかついているのであろう。

だけど、自分の身内でもないのに、しかも外国の人に対していきなりおばあちゃんは失礼ではないか。いや、外国人でなくても日本人でも、例え見かけがばあちゃんでも、身内でない限りおばあちゃんと呼ぶのは失礼だ。私の母は、どんなばあさんにでも奥さんと呼びかける。
このような、度の過ぎた親しげなものいいは、私の嫌うところのものである。

ということで、好きなドールハウスであるが、第一印象としてはあまり良くなかったのであった。

そのせいかどうか分からないが、展示されているドールハウスに、もうひとつ惹かれるものが少なかった。
このコレクションはタイトルどおり、英国のロックヤー女史が収集したものと、彼女自身が製作したものが含まれていたようである。60年間で集めたものということで、個人の収集としては膨大なものになるだろう。けれども質としては、残念ながらあまり良いとは思われなかった。
かえって、京都近鉄で定期的に無料で公開していた展示会の方に見るべきものがあったように思う。
シェイクスピアとエリザベス女王の人形のドールハウスもあったが、かつて見た、中西京子の和紙人形のジオラマ・セットの方が絢爛豪華でリアルだったくらいだ。

ただ、それでもなおかつこの展覧会を取り上げたのは、この作品展を監修しているドールハウス作家の磯貝吉紀という人の作品も展示されていたからである。

それは、なんとマッキントッシュのデザインした家のミニチュアだったのである。
もちろん、ハウスの中に飾ってある家具もすべてマッキントッシュのデザインのもの。
マッキントッシュ・ハウスといえるそれが、そのまま1/12のミニチュアになっている。これはちょっとした感動であった。

もう、ドールハウスというより建築模型である。

普通のドールハウスのようにびらびらとした飾りつけなどない。夢いっぱいのラブラブ空間などではない。
なんともそっけない、直線的な、単なる部屋の連なりなのである。まだ製作途中なのかとさえ思ったくらいだ。

けれども、そのそっけない空間から、紛れもないアーティスト魂が感じられる。
あの有名な背の高い椅子の置かれた部屋や、ピアノを置いた空間に、空間そのものをデザインするというコンセプトがちゃんと感じ取れるのである。

何も足さない、何も引かない、というコピーを思い出すくらいに、無駄のない空間の再現に、ミニチュア製作というものの可能性を見たような気がした。

ドールハウスを展示した展覧会ミニチュアの世界展

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