新潮新書
国家の品格 藤原正彦 2005年 新潮社 06/1/29 |
次々にヒットを放つ新潮新書の新たなベストセラーで、かなり話題になり、現在でも売れ続けているらしい本だ。
ライブドアのブサエモン(謎)が逮捕されて話題になったが、このような、昨今の日本のモラル低下を憂える本である。
日本人なら安心して読め、特に年寄りほど大きく頷きながら読めるだろう。この本で特に重要に思える箇所は、「真の国際人を作るためには、小学生から英語を学ばせるのではなく、国語を徹底的に学ばせるべき」という部分。
世界へ出て行った時に必要なのは、英語ではなく自分の国に関する知識であり、自分の国の文化を知らずして世界と対峙しても恥を掻くだけ、という主張には納得が行く。
日本人は英語が下手だから小学校から英語を教えるべき、という論理は勘違いも甚だしいというのである。
そのとおりだ。
今のような英語教育を続けているなら、どれだけ英語教育に時間をかけても無駄だ。そういう教育を受けて身につかなかった私が保証する。
もうひとつ重要なのは、自国の安全は自分で守る、という部分。
そら来た。
日本はこれから、徴兵制を復活させるべきなのだ。青少年はすべからく徴兵制にて何年か兵役に服すべきなのだ。それでこそ、強い日本になれる。
上官からの無意味ないじめ、ヤキ入れに耐えてこそ心身健全な青少年になる。それはともかく、ほかには欧米型の「論理」がなんでも正しいと思い込むことの危険性とか、だからこそ「だめなものはだめ」という日本的な超論理が必要なのだとか、示唆に富む指摘がどのページにも溢れているから、読んでいてためになることはうけあいだ。
拝金主義のブタエモンが闊歩する現在の日本を憂える人すべてに捧げたい本。