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京都 地名の由来を歩く 2002-4年 谷川彰英 KKベストセラーズ 06/5/13 |
著者は長野県の曹洞宗のお寺の生まれ、国立大学の教授で「日本地名研究所評議員」だと著者紹介に書いてある。
地名に関する本をいくつか書いており、この本はそのうちのひとつらしい。
京都の地名というと、北海道(沖縄も?)に次いで難読が多いと言われているが、確かにそのような難読地名も多少出て来るが(蚕の社など)、多くはない。
普通の地名、―鹿ケ谷とか祇園など、また場所、―1条戻り橋や哲学の道など―、も出てくるが、それより一番多いのは、お寺とか神社の名前だ。
伏見稲荷、晴明神社、本能寺、化野念仏寺(変換しなかった)、清水寺、下鴨神社、醍醐寺と、たくさんたくさん出て来る。
なぜなら「京都では地名というよりも名所・旧跡、もっとわかりやすくいうと、寺社の名前そのものが地名の働きをしているのである」かららしい。
寺社については簡単な歴史とともに、その名前がつけられた謂れを紹介する。場所、地名についてもその場所で起きたことや、その地名の由来を紹介する。
始めのページに中折れの京都市地図がついており、記事の途中に「京都を歩くコツ」というコラムがあったりする。
この本を携えながら、京都歩きも出来ます、ということか(違うだろう)。京都の人には、おなじみのあの場所がたくさん出て来て楽しく読めるし、観光客の人にはこの名前にこんないわれがあるのか、ととても面白いだろう。
京都に住む私でも驚いたのは「千本通」。
京都の人間の悪いくせで、「千本通」という名前の通、確かによく考えたら変わった名前なのだが、子供の頃から千本、千本と言っているから、それが変わった名前だと思う意識がない。
あらためて、そういうわけで千本通という名前がついたのかと、目からウロコだった。
これを読んでから、京都のあちこちの通り名や場所の名に、実は深い謂れがあるのだろうなと、意識するようになってしまった。
例えば御池通でも、何の疑問もなく御池と言っているけれど、これもきっと、「御」がつくからにはそれなりのいわれがあるのだろう。
釜座も、上立売も、柳馬場も、見るからにいわれがありそうだ。馬町なんていうところもある。
上長者町は分かりやすいが。こんな風に、地名をあれこれ考える楽しみを覚えた。
このシリーズは表紙が変わったかもしれない(出版社が変わった?)