Book Maniacs

角川文庫

見仏記2
仏友編

いとうせいこう
みうらじゅん

角川書店

平成11年

05/8/31

名著「見仏記」の第2弾は、仏友編と名づけられている。

仏様を見るために男二人が旅をする。
その怪しさに気がついた二人が、友情というものを、旅の中で意識し始める。

今回の「見仏記」は、ただ仏を見る、という行為からさらに進化して、二人が友情を育む物語になっている所が見ものである。
もちろん仏像とお寺はたくさん出て来て、有名な所からまったく無名の寺まで盛り沢山だ。

 

前回の「見仏記」同様、記述はいとうせいこう、イラストがみうらじゅんで、その内容は、主にみうらじゅんの、仏像好きが嵩じての、仏に対する見方のポップで破天荒なところがウリだったと思う。

今回もみうらじゅんのポップさは健在で、土門拳気取りで仏写真を撮りまくったり、和辻哲郎の後継者だと勝手に名乗るなど、相変わらず飛ばしている。

見仏記」で主だったお寺は行ってしまったので、今回は佐渡島とか、東京のマイナーなお寺にまで行く。
当然、仏像のガイドブックには載っていないような、何の指定もないマイナーな仏や、壊れかけの仏像などと対面している。

有名仏ではないから面白くないか、というとその逆で、彼ら二人のビビッドな感性は、そういう壊れかけの仏にも優しい目を降り注ぐ。
そこが、今回が前回を上回っている点かもしれない。

終盤で、仏像の背中にあるはずの光背が、壊れて仏像の首にかかってしまっている、名も分からない菩薩の描写が出て来る。

イラストと、文章でその朽ちかけた仏像とお堂を描出している部分は、ほとんど感動的だ。

みうらは「あの人らは朽ちるとこ見せているんだよ」と言い、二人でその仏像に手を合わせるのだ。

前回で理が勝っていたいとうせいこうの文章が叙情的になり、ものの見方がアラウンドになって来たことにも原因があるかもしれない。
みうらのポップさにともすれば引きずられ気味だったが、今回は自分なりの独自性を見出したようだ。

見仏記

  inserted by FC2 system