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Book Maniacs

昭和美少年手帖

中村圭子・編

河出書房新社

2003年

06/6/21

これはすごいお宝が眠っていました。私の本棚に残っておりました。これは紹介せずにはおれません。

昭和初期に活躍した挿絵画家の美少年絵を紹介しながら、日本の「美少年まんが」の系譜についても解説、そして、日本の歴史に登場した美少年(絵画)についても詳しく紹介。
資料として、かなり貴重だと思われる。

日本の少年絵画で、美少年の描き方がどのように変わっていったかを、図で示してあるコーナーも楽しい。

 

高畠華宵、伊藤彦造といえば戦前のいっせいを風靡した挿絵画家。ここでは、岩田専太郎や蕗矢虹児が紹介されていないのは惜しいが、それでもこれだけの画家の絵をじっくり見られるのはとても貴重で、とてもありがたい。
(彼らに比べて、山川惣冶は絵がちょっと雑で、少し系統が違うような気がするが)
石原豪人は、別に彼だけのこうした特集本が出ており、そちらでよりいっそう濃厚な絵が楽しめる。

ほかに、西洋絵画に登場する美少年、日本文学に出て来る美少年といったコラムがあり、痒い所に手の届く充実ぶり。

そして、少年まんがに登場した美少年のコーナーもあり、手塚治虫(キャプテンKen)や石ノ森章太郎の「サイボーグ009」が紹介されているのが、我が意を得たりのツボ。

あとは、高畠華宵の美少年の拷問図(!)、半裸でポーズの図(!)、伊藤彦造の神経質そうな描線など、お楽しみがいっぱいだ(挿絵の選び方がグッド)。

 

この本は何年か前の出版なので、既に絶版かもしれないが、古本で見つけたらぜひとも入手を。

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