Book Maniacs

建築MAP京都

ギャラリー・間・編

TOTO出版

1999年(5刷)

05/2/15

この本はものすごく面白そうで、建築好きの私にはぴったりなので、以前からずっと欲しいと思っていた。

そうこうしているうち、ミニサイズでまったく同じもの「建築MAP京都/mini」が発売されたので、これは!と思い、買わなくては!と思ったのだが、それは、大判サイズのものとまったく同じ内容のものが、純粋に1/4くらいに縮小されたもので、ただでさえ小さかった活字もそのまま縮小されており、虫眼鏡でもないととうてい読めないしろものだった。
こりゃとても読めん、
と思ったら、そのミニ本にはちゃんと虫眼鏡がついているのだった。

こりゃええわ、
と思い買おうと思ったのだが、よく考えたら、そのミニ本は本を持ったまま街歩きをするのにちょうどよいサイズである。
私は別に町を歩く時に持ちたいのではなく、部屋で読みたいのだ、ということに気がついた。
それなら何もミニサイズを苦労して虫眼鏡で読むことはなく、大判の読みやすい方で良いではないか。

というわけで、本来の大判の方を安くで入手したのだった。

現在、最終刷が2003年であるが、掲載されているデータは古く、改訂されていないため、名前の変わったものや、既に取り壊されてしまった建物も掲載されている。

つまり、あの、「旧住友銀行京都支店」である。このことだけは言っておきたい。

そして、梅小路機関車倉庫とか、菊水ビルとか、駒井邸、同志社女子部だとかのいくつかの重要な建物が抜けていることは大変残念であり欠点だとは思うが、それ以外は、もうほとんど期待以上で、文句の付けようのない…というよりも、嬉しく楽しく、いつまででもページを繰っていたい本である。

京都市と京都市の周辺の建築をカバーしており、滋賀県の比叡山延暦寺、石山寺、園城寺までが掲載されているチョイスのセンスが良い。
なんだ京都だけじゃないのか、ズルイ、と人によっては思うかもしれない(そんなこと誰も思わないって)が、チョイスされた滋賀県のこのお寺たちは、共通の文化圏としてたいへん納得できる。
非常に良く分かった編集だと思う。

 

もともと建築MAPシリーズは、まずMAP東京が発売され、それが好評だったので、このMAP京都が第2弾として発売されたのである。

MAP東京は、すべて東京の現代建築に限られていた。
TOTO出版が、もともと現代建築関係を扱う出版社なのだ。
だが、京都の建築を取り上げるのならば、数ある木造の歴史的建造物を取り上げざるを得なかったのだろう。
その結果、国宝や重文の歴史建築から明治時代のハイカラ建築から、最新の現代建築まで、京都の百花繚乱の建築を総覧出来る本になったのだと思う。

そういう意味では、京都という街は、建築のありとあらゆる形態を一望することの出来る、建築のモデル都市とも言うべき稀有な都市であり、建築の、上出来のテーマパークなのではないか。

だから、この本には、コラムや解説が沢山載せられており、それを読むのも楽しいのだが、そこに、京都が景観や街並み、都市計画などで、つねにさまざまな論争の舞台になって来たことを示して、日本の建築界において京都がいかに重要な役割を担って来たかを喚起する。

保存と開発との間で、つねに揺れ、苦悩し、思考錯誤を続けて来た京都。
その結果が、今現在の、美しいものもあれば醜いものもある、その二つに引き裂かれた京都という都市の姿である。
建築という観点からそれを見れば、私にとってはひたすら楽しい都市ウォッチングの舞台なのだが。

 

だそく

TOTO出版のTOTOというのは、あのトイレのTOTOであるらしい。
陶器の会社がなぜ建築の本を出しているのだろう。謎である。

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