Book Maniacs

ちくま文庫

ROADSIDE JAPAN
珍日本紀行 西日本編

都築響一 

筑摩書房

2002年

04/11/14

またまた怪しい書、登場。

この本は東日本とこの西日本編の二冊に分かれていて、これはとりあえず西日本編だが、どちらも、文庫で4センチくらいの厚みがあり、それぞれ千ページを越える分厚さだ。

日本の恥部、と言っていいだろう。秘宝館を中心に、日本各地に点在する怪しい物件を詳細写真にて網羅した、怪しさ超ど級、メガトン級の奇書である。

「秘宝館」という怪しい物件。私はほとんど知らなかったし、行って見たこともなかったのだが、とにかくエッチなマネキンが、エッチなポーズでエッチなことをしているさまをデモンストレーションした旅先のお楽しみ。らしい。
この怪しい館が全国に分布している。それをくまなく漏らさず紹介しているように見える。

怪しい神社、怪しい寺(金ぴかの巨大観音のある寺など)も、当然出来る限り紹介されている。
かっぱのミイラ、なぜかムー大陸、なぜかイースター島のモアイ、なぜかルーブルの彫刻展示館、京都以外の金閣寺。このようなアイテムは大得意。
そしてそのとほほな佇まいの中に、リカちゃんキャッスルだの、東映映画村だの、手塚治虫記念館だの、水木しげるロードだのが埋もれている。
中にはそれらに喜びを見出す人もいるだろうに、この中に交じれば一気にその価値は激減。
あたりの良いオブラートをはずされ、「悪趣味」という本来の持つ味が否応なく曝される。

まさしく、「悪趣味」が、この本のキーワードだ。
普段、よそ行きの旅行では決して行かないような場所ばかりを巡って、日本人の隠されたリビドーをあらわにする。

これもまさしくもうひとつの日本人の姿。
膨大な物量が説得力を持つ。

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