Book Maniacs

単行本

仏像の見方
ハンドブック

石井亜矢子

池田書店

2002年

950円

04/11/10

さて仏初心者の私は、仏像というものを知りたいという欲求で書店ヘ行って、さまざまな仏像入門書を探し、いろいろと見回り、あれこれ比較検討し、その結果として、内容が充実していて分かりやすく、カラー写真が豊富で、しかも値段が手ごろというこの本に白羽の矢を立てた。

これは判型が特殊で、小さく、ちょうど手帳くらいの大きさになる。文庫よりスリムだが丈は長く、新書よりは小さい。バッグの中に入る大きさだ。
ひょっとしたら、仏を見る時にバッグに入れて、見て回れる大きさに作ってあるのかもしれない。

そんなわけで、数ある仏像入門書からこれを選んだのだが、選んで良かった、と大満足の逸品である。大変重宝していて、ありがたい書だ。

 

表紙や、もくじなどには著者の名前が書いていない。なんと奥ゆかしいことだろう。

そして、表紙には、"うやまう人の心を救う仏像の入門書"、と書いてある。なんとありがたいことだろう。

仏像というのは、こうでなくてはいけない、と思う。

仏とは、美術品である前に、うやまう対象なのだ。

この本には、仏像にはどういう種類があって、どこを見たら区別がつき、どのように見るべきかが、要領よく書かれ、まとめられている。

しかしこの本の偉大なところは、それだけではなく、仏を見る時の心構え、をおのずと教えてくれることだ。

今の私には、仏を見ることは喜び以外のなにものでもない。まだまだ初心者なのだ。
仏を、どうしても美術品として見ようとする態度の方が強い。
けれども、仏像とは仏さまである。仏さまをうやまい、拝観できることをありがたく思う心を失わないようにと、心がけるつもりだ。ありがたいありがたい。南無。

なお、仏は、お寺で見るのがもっとも好ましい、とは思っている。
博物館や展示会で見るのは何となく有り難味が薄れるように思うし、仏様がちょっとかわいそうにも思われる。
お堂から取り出され、何の段取りもなく(賽銭を投げる、拝む等)無造作に衆目に曝されるのは痛々しい。場違いな気がする。

けれども、展覧会では間近に、仏の背面など、普段見られない部分が見られるという特典もある。そんな拝観のコツもフォローしてある優秀本だ。

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