Art Maniacs : Book Maniacs : Doll Maniacs

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私のコレクション自慢

2004

岩波書店
岩波アクティブ新書

岩波アクティブ新書編集部編

04/6/22

表紙にリカちゃんの写真が写っているが、これは増渕宗一という人のリカちゃんのコレクション。同時に増渕氏は、リカ・カルチャーの研究家でもある。

というように、この本はリカちゃんだけでなく、いろいろなものの収集家が、収集する楽しみを声高にあれこれ語った本である。

どのようなコレクションが取り上げられているかというと、時刻表、狛犬、フクロウ、ステッキ、沈香、寄生虫、スノードーム、である。
まあ、本当にいろいろなものを集めて楽しんでいる人がいるものである。

スノードーム、フクロウなどならば、まだかわいげで、楽しそうだ。
ステッキや狛犬などはコレクションらしいコレクションと言えるだろう。

でも、時刻表?沈香?ここらあたりになって来ると、かなり専門的、学術的な感じが出て来る。集めることに、何かとても深い意義がありそうである。

しかし、そんな中でもっとも驚くのが、寄生虫だ。
この本の中で、寄生虫の項目が、とにかく浮きまくっている。この項目に来ると、きっと誰もが引いてしまうだろう。

しかし、この本は、もしかしたら、この寄生虫の項目こそがもっとも白眉で、もっとも重要なのかもしれない。
とにかく、この項目のインパクトに比べれば、その他のコレクションはあっという間にかすんでしまう。
寄生虫こそがこの本の真打で、あとは前座、前書き、付け足しかもしれないのだ。

この寄生虫のコレクター、藤田氏は、自分のお腹の中にいたサナダ虫をホルマリン漬けにして、キヨミちゃんと名づけている。
こんなことで引いてはいけない。

彼は医学博士で、えらいお医者さんなのである。よく調べてみると、この藤田紘一郎氏は有名な寄生虫研究家で、著書も沢山ある(もちろん寄生虫に関する本ばかり)。

寄生虫は、人間に害を与えない。それどころか、なかなかいいこともしてくれているのだ、と寄生虫を擁護する必死の弁明を読むと、思わず、ああ、本当に寄生虫を愛しているのだなあ、とこちらまで寄生虫に対して、同情をしてしまいたくなるくらいである。

藤田氏の、寄生虫に関する独立したエッセイも沢山あるようだから、そちらを楽しんでもいいかもしれない。

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