Book Maniacs

大いなるマンネリ

紅茶を注文する方法
土屋賢二著

2004年

04/11/14

土屋賢二の最新文庫である。

内容は、先行発売されている文庫の数々と大同小異で、ほとんど代わり映えがしない。
すなわち、被虐的なまでに必要以上に自己を矮小化し、道化と化さしめることによって笑いをさそうという伝統の手法であり、書かれているのはそうした著者の近辺の事象に限られ、ちょっとばかり社会問題に触れそうになっても、道化的な自己を登場させることによって、上手にそれをかわしてしまう。

この社会性の忌避は天才的であり、卓越した技術だと思う。既に名人芸の域に達しているだろう。私たちのようなしろうとはそうはいかない。どうしても社会性に抵触してしまい、生臭く、ムキになってしまうのだ。
どうしたらこの仙人のような境地に至れるのか、直談判して問い詰めてみたい。

解説を、珍しく身内でなく、立川志の輔という落語家が書いている。ちゃんと褒めてある。ある種の人には土屋氏の芸は認められているようだ。

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