Book Maniacs

怪しすぎる外人の本

怪しい日本語研究室
イアン・アーシー
2003年
03/6/1

イアン・アーシーという著者名からしても、また本の折り返しにつけられた著者の近影からしても(スキンヘッドで不適な笑みを浮かべている)、タイトル通り何となく怪しい雰囲気が濃厚に漂うが、実は大変示唆に富み、充実した内容で、しかも分かりやすく的確に日本語について語り尽くしている。

例えば「戦争」という言葉は日本人にとって「忌み言葉」であるから、「戦争」の代わりに「平和」という言葉を使う。
戦争記念公園ではなく「平和」記念公園であり、戦争教育ではなく、「平和」教育と呼ぶ。
「戦争」は、戦後日本人の最大の忌み言葉なのだという指摘。

また、「外人」という言葉について、

外人という言葉は、英語のフォリナーと同じ意味ではない。
あくまで日本人から見た外国人という意味であり、それは「日本人以外の国の人」を指す。だから日本人が外国へ行っても、日本人は自分が「外人」なのではなく、よその国が「外人だらけ」だと思うのだ、という指摘。

こういうことは、「外人」だからこそ出来る指摘だと思う。

またバビロニアやミケーネ文明などの古代文字、楔形文字の研究(アーシー氏は古代文字オタクだという)から、日本語が原始的な古代文字と非常に似ていると指摘している点も、興味深い。

確かに、アルファベットなどと比べると、アルファベットはたった26文字ですべての言葉を表わすことが出来る非常に洗練された言葉であるのに対し、日本語の文字数の無限に多いことは、日本のような先進国(?)においてあまりにも異常なことと言えるだろう。

なぜこのような原始的な言語が滅びずに現在に至るまで残っていて、また私たちがそれを不自由とも感じずにごく自然に使えているのか。
考えてみれば不思議なことだ。

改めて日本語の不思議と面白さを知らしめてくれる本だ。

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