Art Maniacs : Book Maniacs : Doll Maniacs

U-NOA Freak

2005/5

2200円

ホビージャパン

05/5/11

荒木元太郎の球体関節人形、ユノアの本が出た。

この本を買うと申込書がついており、ユノアの少年バージョンを買うことが出来るのがウリだ。

私は荒木氏の人形は、一つも持っていないのだけれど、本を買った。

ユノアは、買い方が難しく(?)、なかなか手に入れられない。ネットでのみ販売されていたようだ。今回は、この本を買いさえすれば、少年ユノアが手に入る(もちろんお金は別途要るが)。それで、この本を買ったようなものだ。

別にアレ目当てに少年ユノアを欲しいというわけではなく、少女の方を買いたいのだが、欲しいと思った今、手に入るのは少年しかないので、とりあえず本を買い、とりあえず少年を買いたいと思っている。

いやあ、私もいよいよ大型ドールに本格的に参入するイキオイだ。面目ない。

 

荒木元太郎氏に関しては、ユノア以外のことはよく知らないが、フィギュア系モデルを製作している原型師と言っていいのだろうか。
ユノア系ドールはまず、ボークスから60センチくらい(SDサイズだ…)のユノスが発売された。
そのあと、自身の「錬金術工房」から、オリジナルの素体で40センチサイズのユノア(ルシス、シスト)が発売され人気を呼んだ。
自身の工房で研究し、受注生産のため、いわゆる大量生産は出来ない。それが、つねに供給不足に陥っている要因だろう。
それでも、人形ファンから熱烈な支持を集めており、その熱気がこの本から感じ取れる。

 

ユノアに縁がなく、まだ持ったことがない私は今回、この本によって、ユノアについて、知らなかったさまざまなことをかなり詳しく知ることが出来た。

そういう意味では、この本はただ少年ユノアを買うための切符という位置付けだけではないものがある。

荒木氏が、球体関節という構造に疑問を持って、SDをそのまま使うのではなく、新たに原型を模索したこと、さらに改良を重ねて自身の工房を立ち上げ、オリジナルのアイデアを試作し盛り込んでいること、そしてユノアクルス・ライトから少年ユノアにいたるまで、立ち止まることなく、素体を洗練させていっていること、などが分かる。

このことは、ユノアという人形が、荒木氏にとっては単なる商品というだけではなく、球体関節人形、或いは可動人形の可能性を追及する実験素体でもある、ということではないだろうか。

私にはそれはとても頼もしいことのように思える。
私自身、人形への興味はあっても、球体関節、ということにこだわりはないし、球体関節を望んでいるわけでもない。ただ人形としていいものが欲しい、満足のゆくものが欲しい、という欲求があるまでだ。

荒木氏の模索は、可動する人形を「扱いやすさ、壊れにくさ、組み立てやすさ」において、どのように完成させていくか、だと思う。

その追求の結果、将来、球体関節を捨てる、ということもあるかもしれない。それは、私の望む方向でもあるので、ぜひ実現して欲しいと思う。

 

荒木氏は見ための美しさを重視している。

ユノアの体を他の球体関節人形と比べればすぐに分かるが、ユノアは直立した時、太ももの付け根に球体が現れていない。そして、膝の関節が、膝頭の下で分割してあり、自然で、圧倒的なボディの美しさを実現している。

このことは、ファッションドールを集めていた女性が、ユノアを支持していることに現れているだろう。

球体関節人形の弱点である関節部分の露出と、ボディラインのぶさいくさ。荒木氏のユノアでは、それらを出来るだけ目立たせず、克服しようという努力がなされている。
その結果、そのボディの美しさがファッションドール・コレクターにも注目されるのだと思う。

SDを始めとする、球体関節人形とは方向性・コンセプトの点でまったく違うことが、理解出来る。

 

手を付け替えたり、時には顔を付け替えたりして人形の遊びとしての幅を広げようともしている。このアイデア、実験精神なども頭が下がる思いだ。

もしかしたら、これからもユノアは進化していくのかもしれない。そんな期待が膨れ上がる。

このような試みは、プラモデル好きな男性だからこそかもしれない。

可動の人形に、疑問と限界を感じるからこそ、それを改良して、よりよいものにして行きたい、あれこれ考えて、改良を加えていくという考えは、プラモデラーの発想のような気がするのだ。

とてもためになった。


なおドレスのパターンがついているのはいいが、色刷りページに白抜きという印刷は確かにユーザー無視だ。コピーする時に、ものすごくしにくいのではないか。

荒木元太郎氏情報サイト→錬金術工房HP


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